日本ハムドラ1・伊藤大海 覚悟の船出 “飾らない自分”貫く

[ 2021年1月1日 11:49 ]

パ・リーグ全チームから勝ち星をつり上げるぞーとポーズを取る伊藤(撮影・高橋 茂夫)
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 日本ハムにドラフト1位で入団した伊藤大海投手(23=苫小牧駒大)が新春インタビューに応じた。04年の球団の北海道移転後では初となった道産子の1位入団で、日本一奪還への戦力としての期待と自覚を胸にプロ1年目に挑む。最速156キロ右腕はプライドを胸に“飾らない自分”にこだわってプレーすることを誓った。(取材、構成=東尾 洋樹、竹内 敦子)

 ――明けましておめでとうございます。プロ1年目を迎える気持ちを。
 「まずはしっかり1軍に入ること。その舞台で投げることを考えて大学4年間でやってきた。達成できるようにと思っています」

 ――今年は年男。丑(うし)年のイメージは。
 「ちょっと強そうなイメージはある。突き進む…。そういう意味合いも兼ねて自分にぴったりかなと」

 ――牛には突き進むイメージもあれば、一歩一歩踏みしめていくイメージも。
 「僕もプランを立てながらいくタイプ。ただやみくもに突き進むだけでなく、自分の考えを持って着実にステップアップしていく意味でもいいかな」

 ――昨年を振り返って。
 「今思うと短かったなと。自分の調子は良かったとずっと思っていた。そういう中で試合に出られない歯がゆさというか、大学を辞めて戻ってきた時の1年間(※1)を思い出すような年だった」

 ――一番の出来事は。
 「(秋の)リーグ優勝できた。最初の大学2年(の春)に優勝して、最後も優勝で終われたのは自分的にも、同じ仲間とやってこられたということでうれしかった。気持ちよく大学生活が終わった」

 ――背番号は17に決まった。(18年の)大学日本代表初選出時の番号であり、かつては担当の白井康勝スカウトもつけていた。
 「(白井スカウトが)つけていたのは知っていた。背番号を言われた時に“あっ”と。僕が東京に行って、また戻ってきてからも見ていただいていた。番号に限らず、活躍することが恩返しというか、ここからまた成長していく姿を見続けてほしい」

 ――今年の抱負を漢字一文字で表すと。
 「“攻”。今までテレビで見てきたような打者ばかりになるので。そこで“○○さんだ”って受けずに自分の投球をして、強く内角を攻めたりという部分で戦っていけたら」

 ――どういう部分にプライドを持っていきたい?
 「負けて、打たれて、納得いかない時に笑ってごまかすようなことだけは絶対にしたくない。プロ野球選手だから格好良くやらなければいけないとか、きれいでなければいけないとか、僕はそうは思わない。歯を食いしばってやっている姿もそれはそれで一つの魅力だと思う。僕はそういう姿を見てプロ野球選手という仕事に憧れを持って、夢をもらった」

 ――これまで誰かを見てそう感じた?
 「斉藤和巳さん(元ソフトバンク)。凄いガッツポーズの記憶があれば、札幌ドームで膝をついてマウンドで悔しがる姿も印象的。あれだけの投手がグラウンドで喜怒哀楽を出して自分を表現する。その方が人間味があって格好いい。“飾らない自分”ということにはこだわっていきたい」

 ――毎年、オフは新しいことを取り入れている(※2)。今はどんなトレーニングを。
 「バレーボールのスパイクを打つ動きとか。秋のリーグ戦後に考えていてパッと思いついた。僕たちは地面を使って投げるのが当たり前だけど、そうじゃなく空中で体をうまく動かすのは上半身のバランスが大事になってくる。実際に(ボールを)打つのは突き指が怖いので、タオルを手にジャンプして(スパイクを)打つ」

 ――感触は?
 「初めてやった時に結構やっちゃって凄い筋肉痛が全身にきた(笑)。今まで入れていない刺激を入れたので。背中にも、脚にも。今は自分が跳べる最大の到達点で強く振るというのがだいぶ形になってきた」

 ――お父さん(清光さん)はバレーボール経験者ですね。
 「父に動画を送ってチェックしてもらった。評価?いいですね。跳んでからの体のあおり方の感じは、足が(地面に)ついた状態でも生きてくる動作になる」

  ――プロとなり「日本一」への思いは。
 「小学校、中学校、高校、大学とないので上の景色を見てみたいのはもちろん。ここまでやってきた野球で、何かてっぺんを獲るというのは一つの目標」

 ――大学では2年連続で侍ジャパン大学代表。活躍すれば、また代表のチャンスも。
 「あのユニホームを着ると特別な気持ちになる。興奮もした。最高レベルのユニホームに袖を通した時にまた違った感情も出てくると思う。それをまた感じられる選手になりたい。だが、まず一番はチームで信頼される投手になること。プロ野球選手として最前線でやっていきたい」

 ――元日から地元鹿部町で始動する。プロの中のプロフェッショナルを目指していくと話していたが、改めて決意を。
 「先ほども言ったように、歯を食いしばってでもやる。“全力で取り組んでいるな、この人”と思ってもらえるような選手でいたい。ソフトバンクの松田さんのような熱さは僕には出せないけど、プレーしている中でそう感じてもらえる選手になりたい」

 (※1)駒大進学も1年秋に退学し、翌春に苫小牧駒大に入学。1年目は規定で公式戦に出場できず、トレーニングに打ち込んだ。
 (※2)2年冬は、米国のトレーニング施設「ドライブラインベースボール」で使われる重さ2キロから100グラムまでの6個のボールを入手。最軽量のボールで腕に速い動きを覚えさせるなどメジャーリーガー注目のトレーニングを導入した。

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2021年1月1日のニュース