古巣と最高の引退試合で涙…楽天・渡辺直、独占手記「大好きな仙台で…本当に幸せです」

[ 2020年11月7日 05:31 ]

パ・リーグ   楽天4-2西武 ( 2020年11月6日    楽天生命 )

<楽・西23>試合後、岸と抱き合う楽天・渡辺直(撮影・白鳥 佳樹)
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 楽天の渡辺直人内野手(40)が6日、引退試合となった西武戦に「1番・DH」で今季初出場。3回に左翼線二塁打を放つなどマルチ安打を記録した。ヘッドスライディングでの本塁生還や遊撃守備にも就くなど、涙を流しながら走攻守で持ち味を発揮。打撃コーチを兼任した今季も含めた14年間の現役生活に別れを告げた男が、スポニチ本紙に独占手記を寄せた。

 本当に最高の一日でした。引退試合の相手がライオンズでイーグルスの先発がタカ(岸孝之)。それだけでも十分なのに2本もヒットを打てて自分でもビックリです。この日は雨天中止の振り替えで生まれた試合。神様が用意してくれたのかもしれませんね。
 9月13日に現役引退を表明してから約2カ月。野球人生で初めて「ゴール」を意識して日々を過ごしました。今までは先を見ることなく、がむしゃらに突っ走ってきた。お客さんの前でプレーできなくなるのは、正直言って寂しいです。ただ悔いはありません。これだけは言い切れます。

 イーグルスから始まったプロ生活。ベイスターズへのトレードやライオンズでの戦力外通告もありましたが、現役の最後を大好きな仙台で締めることができて本当に幸せです。40歳まで全力で野球に打ち込むことができたのは、やはり家族の存在があったからです。

 社会人(三菱ふそう川崎)時代の23歳で社内結婚した妻は僕の性格、考え方など全てを理解してくれています。何かが決まった時にはいつもそっと背中を押してくれて。引退を決断した日もそうでした。「うん、分かったよ。お疲れさま」と…。「うまい選手より強い選手」を目指してきた僕よりも強い人で、泣き言も聞いたことがありません。セレモニーで一緒にグラウンドを一周した息子は来月で4歳になります。野球が大好きで楽天の主力選手全員のモノマネができるぐらい。元気に、立派に成長してくれています。

 実は僕は小さい頃に母を白血病で亡くしています。生まれ育ったのは茨城県ですが、母の闘病期間中に大分県の親戚の家でお世話になっていた時期もありました。引退試合には「第二の故郷」の大分から大切な家族も駆けつけてくれました。最後に良い姿を見せられて、恩返しになったのであればうれしいです。

 打撃コーチ兼任の今季は4位という悔しい結果でした。リーグ優勝を経験しないまま引退することは心残りですが、たくさん素晴らしい経験をさせていただきました。イーグルス、ベイスターズ、ライオンズ。在籍した3チームは僕にとって特別なチーム。常に強いチームであってほしいし、今後も野球界を盛り上げてほしいです。

 最後になりましたが引退試合を開催していただいた球団、これまで携わってくださった指導者や関係者の方々、そして応援してくれたファンの皆さん、本当にありがとうございました。ユニホームを脱いでも、僕は僕のままです。また、笑顔でお会いしましょう!(東北楽天ゴールデンイーグルス  内野手兼1軍打撃コーチ)

 ◆渡辺 直人(わたなべ・なおと)1980年(昭55)10月15日生まれ、茨城県出身の40歳。牛久から城西大を経て三菱ふそう川崎に進み、04年にスポニチ大会新記録の打率.769。06年大学・社会人ドラフト5巡目で楽天入団。10年オフに金銭トレードで横浜(現DeNA)、13年7月にトレードで西武移籍。17年オフに戦力外通告を受け、8年ぶりに古巣・楽天に復帰した。今季から1軍打撃コーチを兼任。1メートル73、73キロ。右投げ右打ち。

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