広島・小窪 退団発表から一夜 現役続行への思い激白「可能性が1%でもあるなら挑戦してみたい」

[ 2020年11月7日 05:30 ]

広島の小窪
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 広島・小窪哲也内野手(35)は、退団発表から一夜明けた6日、廿日市市内の大野練習場で報道陣に対応し、現役続行を決断するに至った胸中を明かした。球団からの指導者転身への打診を断り、自由契約を選択。リーグ3連覇の功労者が他球団移籍を目指す。

 広島での指導者か、不透明な他球団への移籍か。「10人聞いたら、みんな(指導者の打診を)引き受けたほうがいいと言うのが普通の話」。それでも小窪は、将来の安定性を選択できるほど完全燃焼できていなかった。

 「悩んだんですけど、悩んでも出てくる答えが…。年も年なので、何年もできるわけではない。でも、自分の中で可能性が1%でもあるなら(現役続行を)挑戦してみたい気持ちが強い」

 故障などが重なり、今季はプロ13年目にして自己最少の2試合の出場にとどまる。来季の戦力構想から外れ、球団からは指導者への転身を打診された。家族からは「好きにしたらいいよ」と伝えられた。球団と最初の話し合いの場を持ったのは9月末。現役続行を決断したのは、10月中旬だった。球団は本人の意思を尊重し、5日に退団が発表された。

 「(指導者は)自分の可能性がなくなって諦めが付いてから。本当は(選手として)やりたいのにな…と思いながらやるものではない。中途半端ではやりたくないと思った」

 広島一筋13年。15年10月7日の中日戦を思い出す。シーズン最終戦でクライマックスシリーズ進出を逃し、敗戦投手となった大瀬良は一塁ベンチで号泣した。「温度差を感じた。大地だけが一人泣いて…。(全員で思いを)共有できれば(結果が)変わったのではないかなと。僕ができることはそこだと思った」。そして、翌16年から選手会長を2年間務めて、リーグ連覇をかなえることになる。主力選手に勝利への姿勢を求め続けて、黄金期到来に一役買った。

 今後は大野練習場を拠点として、NPBからのオファーを待つ。状況次第では、トライアウトに参加する可能性もある。「本当に後悔がないようにしたい」。右の代打としても重宝された。その勝負強さが生きるのは、自由契約となるこれからである。(河合 洋介)

 【小窪と一問一答】

 ――現役続行への葛藤はあったのか。

 「本当にカープには13年間お世話になりましたし、いろいろなわがままを聞いてもらって…。自分の気持ちに正直にさせてもらったということですね」

 ――広島への思い。

 「プロ野球選手にさせていただいた球団ですし、特長のない選手ですが、いろいろ成長させていただきました。いろんな経験をさせてもらった。感謝の気持ちしかないですね」

 ――現役でまだ活躍できる自信がある。

 「そこは分からないところがあるのも確か。年齢的にもどこまでできるのか。そんなに自信があるわけではない。来年ケガするかもしれないし。今年やった感じでは、まだ自分の中ではやれると。やっぱりやりたいという思いが一番」

 ――指導者を打診してくれた球団への感謝もある。

 「ありがたい気持ち、すごくうれしい気持ちもあった。でも、まだ無理だなって。ここで職がなくて仕事を引き受けさせてもらったら、自分のためじゃないですか。それが普通なんでしょうけど、そういう人がユニホームを着るべきではないと思っている。そういうのは、選手に伝わってしまうと思う」

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