阪神・岩崎 プロ初セーブで球児の偉大さ痛感「思った以上にいろんなもの背負ってた」

[ 2020年9月4日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神4-3ヤクルト ( 2020年9月3日    甲子園 )

<神・ヤ(15)>   プロ初セーブを挙げた岩崎はウイニングボールを手に笑顔(右は梅野)  (撮影・成瀬 徹) 
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 重圧と戦いながら、3つのアウトを必死にもぎ取った。阪神・岩崎が、7年目でプロ初セーブを記録。尊敬する藤川の担ってきたポジションの偉大さをかみしめるマウンドになった。

 「緊張もしましたし、3人で終われば良いなと思ってたけど、難しかったです」

 4連投していたため休養だったスアレスに変わり、1点優勢の9回に登板した。勝利に直結する締めの舞台。普段はクールな男も、特別な空気を感じ取っていた。「とにかく0点で終わればいいなと思っていた」。2死一、二塁と追い込まれながらも、最後は山崎を二ゴロに仕留めて、チームの勝利を代表してつかんだ。

 その瞬間、去来したのは今季限りでの現役引退を発表した背番号22の姿だった。「思ってた以上にいろんなものを背負ってたのかなと。1回だけなんで、それだけじゃ言い表せないですけど…」

 守護神として身を削って腕を振ってきた右腕の凄みを、同じ舞台で少しだけ感じ取れた。矢野監督も「一球一球かなり慎重に投げながら絶対にゼロで抑えるというね。粘ってくれました」と緊張感あふれる23球をたたえた。

 冷たい仮面をかぶる男も、心の内側をのぞけば「反骨」が煮えたぎる。リリーフに転向して以来、失点や痛打を浴びた試合後は決まって「次、やり返せるように」と一言だけ残し球場を去る。自宅や宿舎に帰ると日程表をチェック。「例えば打たれたのがカードの3戦目だったら、次そのチームといつ対戦するのかを確認してます」と“やり返す”場面を思い浮かべる。そうやって、強くなってきた。

 「せっかくもらったんで」。勝ち投手の岩貞から手渡された記念のウイニングボールはいつもと“感触”が違った。1勝、アウト1個の重みが、ズシリと左手に伝わった。 (遠藤 礼)

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