置かれた場所で責任を全う…オリックス山岡の「悔しさ」がチームを押し上げる力に

[ 2020年9月2日 09:00 ]

オリックス・山岡(撮影・井垣 忠夫)
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 チームのために腕を振る。エースであっても、ベテランであっても。その立場にあぐらをかかず、首脳陣の意向に対して誠実に対応する選手に高いプロ意識と親しみを覚える。オリックス・山岡泰輔投手(24)は、そんな選手の1人だ。金髪や銀髪などド派手な髪色や風貌から“チャラい”と思われがちだけど、「チームのためなら」とマウンドに上がる姿勢は好感を持てる。

 左脇腹痛からの復帰2戦目となる次回登板に関する起用法について。「金曜のカード頭に、エースを配置したい」という首脳陣の狙いで、山岡は中7日で9月4日の楽天戦(楽天生命)に登板することが決まった。楽天戦は昨季も7戦6勝(1敗)と好相性で、ベンチの方針は当然だと思う。ただ、担当記者として複雑な思いもある。山岡が思わず漏らした本音があるからだ。

 「逃げているって思われたくないですよね。でも、僕なんかが起用法について言えるわけないですし、チームのためになるのなら、与えられたところでしっかり結果を示すだけです。ソフトバンクに対しても、しっかりしたものを見せたかったんですけどね、今季はもう対戦できないかもしれないから…。やっぱり悔しいですよね」

 残る鷹戦は全て火曜日からの3連戦。山岡が中6日で回れば対戦機会はない。周囲から苦手とされる向きがあることを自覚し、コロナ禍による変則日程で生まれた同一カード6連戦を「ちょうどいいと思います。絶対にソフトバンクと当たるってことでしょ。そういう部分は出したいですね」と汚名返上の好機と捉えて臨んだ今季だった。2カ月の故障離脱で雪辱の機会を逸し、復帰戦だった8月27日のソフトバンク戦は60球の球数制限があり3回3失点で降板。通算12試合で未勝利5敗。右腕の「悔しい」の一言はズシッときた。

 「オリックスで優勝したいんです」。事あるごとに、こう話す山岡のチームに対する思いは強い。7回1失点(勝敗つかず)だった開幕戦の6月19日の楽天戦以来となる則本昂との投げ合いに挑む。

 「則本さんからは“前回は、お前に負けを付けられなかったからな”って言われているので。自分としては前回負けたような感じなんですけどね、負けないようにしっかり投げたいです。やっぱり金曜は相手投手も凄い人がきますし、投げ合うことで収穫もたくさんある。そこで勝たないといけないという責任感も持って臨みたい」

 チームのための快投は、きっと山岡自身の飛躍にも直結する。ソフトバンクにやり返す好機も、いつかは必ず巡ってくる。悔しさをバネにレベルアップしたエースの存在が、チームを押し上げる原動力になるはずだ。(記者コラム・湯澤 涼)

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2020年9月2日のニュース