専門家「ガイドラインは成長させていくもの」 新型コロナにゼロリスクないが、近づけていくためには

[ 2020年9月1日 11:38 ]

NPBの井原敦事務局長
Photo By スポニチ

 日本野球機構(NPB)は8月21日に新型コロナウイルス感染予防ガイドラインを改訂した。別添として今シーズンの特例事項や、感染者が出た際の公式戦継続の判断基準が加えられたほか、強調されたのがマスク着用の重要性だった。

 一方でこの連日の酷暑の中である。運動時はもちろん、平時でも常にマスクを付け続けることは熱中症のリスクを高める。マスクを外すことを前提とした意識付け。「マスクを外すことはある。ただその時は、会話をしない、掛け声をかけない」とNPBの井原敦事務局長は説明した。8月24日のJリーグとの対策連絡会議でも、専門家チームの座長を務める賀来満夫氏(東北医科薬科大特任教授)はユニバーサルマスキングと、最新の知見に基づいたマスクの重要性を改めて説いた。

 同じく専門家チームの三鴨廣繁氏(愛知医科大教授)は「よく学会でも、ガイドラインは成長させていくものだと申している。一つ一つの事例を通じて良いものとし、リスクを下げる。ゼロリスクはないが、そこに近づけるように変えていく」と姿勢を示した。

 Jリーグで起きたJ1鳥栖のクラスター感染からは、感染経路として目立つ飛沫(ひまつ)感染ではなく、接触感染の仮設が立てられていた。

 井原事務局長は「どうしても飛沫感染のイメージが強かったが、接触感染が起こり得ると。接触感染によってクラスターとなることがある」と再確認。既にガイドラインには接触感染の防止策を明記されているが、順守と意識の徹底を呼び掛けた。

 定期のものを含めた検査方法の検討も重ね続けている。PCR検査は費用のほか、検査結果が判明するまでどうしても時間を要する点が課題。高感度で信頼性も高く安価な抗原検査のほか、より短時間で1時間以内に結果が判明するスマートアンプ法も候補に挙がっている。既に日本サッカー協会(JFA)は導入しており、試合当日の検査という可能性も見えてくる。まだ道半ばではあるかもしれないが、最新のエビデンスを積み上げながら、より良い安全な興行をつくりあげていく。(記者コラム・後藤 茂樹)

続きを表示

2020年9月1日のニュース