巨人・菅野 斎藤雅樹以来30年ぶり開幕8連勝!進化0.25秒の“タメ”で全球種球速アップ

[ 2020年8月19日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人1―0阪神 ( 2020年8月18日    東京D )

<巨・神>完封勝利を挙げ開幕8連勝とし、マウンドでナインと喜ぶ菅野(中)(撮影・椎名 航)
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 無双のエースだ。巨人の菅野智之投手(30)が18日、阪神戦に先発し、両リーグトップの8勝目を今季3度目の完封で飾った。わずか3安打に封じて1点リードを守り抜き、チームの連敗を2で止めた。開幕からの8連勝は、球団では1990年の斎藤雅樹以来30年ぶり。通算20度目の完封は歴代13位タイで伝説の大投手、沢村栄治に並んだ。

 「0・25秒」という一瞬の時間。スポーツでは陸上やF1で用いられる「0コンマ」の世界に、今季の菅野の凄みがある。

 「格別なものがある。いつも点を取ってくれているので恩返しができた」と振り返る今季3度目の完封劇。オフに取り入れた新フォームの効果が大きい。最大の利点は軸足の右足に力をためることができること。腕から始動して上半身をひねって左足を上げる。右足一本で立つ時間(左足が地面から離れて着地するまで)が今季「約2・00秒」。昨季は「約1・75秒」だった。

 0・25秒長くためた力。これを左足に一気にぶつける。直球の勢いは増し、変化球の鋭さも増した。この日の直球の最速は153キロ。昨季146・8キロだった平均球速は148・4キロにアップした。変化球までも軒並み、球速が増している。

 通算20完封。沢村栄治に並ぶ大記録だ。「巨人は歴代名だたる投手ばかり。先人の記録に追いついたり塗り替えるのは難しい。肩を並べられたのは誇り」。永久欠番の背番号14。日中戦争で手りゅう弾を投げ続けたことで右腕を痛め、投球フォームを上手から横手に変更した。その後自身3度目のノーヒットノーランを達成している。

 大投手が「伝説」と化したのは変化することを恐れず進化したから。菅野の投球フォームもそうだ。さらに沢村栄治は日米野球でベーブ・ルースから三振を奪い、日本人の「常識」を変えた。現在、日本では中6日が常識だが、今季初の中5日。菅野は「中5日ぐらいで“ヒーヒー”言っていたら先発は務まらない」と言い切った。快投を見届けた原監督が「日本では週に一回が定説的だがジャイアンツでは中5日が普通であると」と改めて掲げた新常識。構築するべく体現してみせた。

 しかも、打線は今季最少タイの2安打で今季初の1―0勝利。指揮官が「1―0で勝つと負けるは天と地の差」と評した投手戦を制したのは、これで3度目だ。「菅野智之という投手も、ジャイアンツの中で名を残す投手になる」と称えられた言葉はとても重い。

 開幕からの連勝を8に伸ばした。「できればたくさん点を取ってくれて完封した方が楽は楽ですけど、(1―0の)達成感は段違い」と菅野。その達成感がさらに飛躍させる。(神田 佑)

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