球界最年長の阪神・福留 代打同点打から決勝2ラン 元気な43歳、6年ぶり中堅守備も万全

[ 2020年7月17日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神6-4ヤクルト ( 2020年7月16日    甲子園 )

<神・ヤ(6)>  8回1死一塁、福留は中越えに勝ち越し2ランを放つ(撮影・大森 寛明)
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 こんな姿を待っていた。阪神は16日のヤクルト戦で不振で先発から外れていた福留孝介外野手(43)の2打数2安打4打点の活躍で6―4で競り勝ち、4カード連続の勝ち越しを決めた。代打での同点二塁打に決勝2ランという文句なしの働き。球界現役最年長選手が健在ぶりを見せつけ、最下位から脱出させた。 

 千両役者がいつまでも黙っているはずがなかった。つ いに福留が爆発だ。代打で放った6回の同点二塁打はただの序章。4―4の8回1死一塁、上限の5000人に満たないとは思えぬ大歓声が背中に注がれる中、清水の速球をバックスクリーン左に叩き込んだ。

 「お客さんの拍手だとか、すごく勇気をもらえますし、ありがたいなと思います。何とかしようという気持ちは強くなりますよね」

 サンズとともに今季初のお立ち台に上がり、第一声で感謝を口にした。6回2死一、二塁で代打で登場すると近藤のスライダーを振り抜いた。同点の右越え2点二塁打が、遅ればせながら今季の初打点。これで完全に“ゾーン”に入った。この日2度目の打席では清水の初球を狙い打ち。貫禄の一発で混戦にケリをつけた。

 開幕からの不振で6月26日DeNA戦を最後に先発落ちが続く。40歳を超えても打線の軸を担ってきた大ベテランも、いよいよ立場が変わったかに思われた。ただ、土俵際で驚異的な底力を見せてきたからこそ昨年までの22年間、第一線で戦ってこられた。それを2打数2安打4打点でまたしても証明した。

 ベンチスタートが続いても、不本意そうなそぶりはおくびにも出さない。練習では外野だけでなく内野でもノックを受け、若手をイジって明るい雰囲気をつくっている。そう振る舞えるのも、絶対の自信があるからだ。現役最年長の今季。キャリアの長さだけでなく、中日時代の06年にはMVPに輝き、メジャーリーグも経験した濃度は誰よりも濃い。それでも「キャッチボール一つでも、もっといい球が投げられないかなといつも思う」と、今でも向上心のかたまりだ。30年以上の野球人生でも「うまくなるためなんだから、練習がつらいと思ったことは一度もない」と言い切る。積み重ねてきたものが桁違いだけに“必ず自分の力が必要になる”という確信を持ち、日々、万全の準備をしてきた。

 7回からは14年以来6年ぶりに中堅守備にも就いた。この回の雄平の中飛を簡単にさばき、守備力もまだまだ健在だ。矢野監督は「孝介のおかげや。孝介の一番強い経験という部分をどの場面でいってもやってくれるのはチームにとってありがたい」と最敬礼。この夜をきっかけに43歳の逆襲が始まる気配だ。 (山添 晴治)

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