張本勲氏提言「冬にセンバツ出場校で試合を。思い出だけでも作らせてあげたい」

[ 2020年5月21日 05:30 ]

夏の甲子園、地方大会中止

張本勲氏
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 全国の球児のことを思うと本当に残念でならない。過酷な練習に耐えて仲間とプレーし、甲子園を目指して若き命を燃やす――。国難ともいえる新型コロナウイルスの感染拡大だが、こんな事態を誰が想像しただろう。

 今、思い出すだけでも涙が出る。58年夏。私のいた浪商(現大体大浪商)は甲子園出場を決めたが、部内で暴力事件があった。チームは出場が認められたものの、他の数人とともに私は処分を受けて出場できず。事件は部員みんなが見ており、完全な濡れぎぬだった。死のう、とさえ思った。16歳で故郷・広島を出てきて、夢が絶たれ…。それほど甲子園は大きな存在だった。

 何とか甲子園の土だけでも踏ませてあげられないか。例えば春のセンバツの出場予定校を集め、今年の11~12月に試合を行う。32チームで1試合ずつ。1日4試合なら4日間の計算だ。思い出だけでも作らせてあげたい。そこには全国約4000校の球児の希望が詰まっているのだから。

 若き高校生に今回の事態が運命だったというのは酷だろう。人生は長い。この経験を糧に「あの時のことを思えば…」と強く生きてほしい。「あっぱれ」な人生を、と切に願う。(スポニチ本紙評論家)

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2020年5月21日のニュース