時代は「打高投低」…不測の事態を念頭に置く、栗山監督の采配

[ 2019年6月24日 12:16 ]

日本ハム・栗山監督
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 近年のプロ野球を表現する言葉の一つが「打高投低」。各球団がアナリストを増員し、テラス席など球場も狭小化が進んだことで、さらに拍車が掛かっている。かつては各チームに必ずいた絶対的エースや守護神も減少。ここ数年、大型連敗が頻発するのは、そんな一因もあるのではないか。

 現在、記者は日本ハム担当。今年でプロ20年目の田中賢介内野手(38)との雑談で、その話題となり、ある言葉に納得した。「昔は試合の中で流れが変わる潮目が1度か2度だったから、1―0で勝つ方法を考えていた。今は試合中に流れが何度も変わるから、8―7でどう勝つか、と考えなければいけないと思う」。東京から本拠地を北海道に移転した2004年以降、全5度の優勝を経験している百戦錬磨のベテランも、時代の変遷を強く感じている一人だ。

 「セーフティーリード」という言葉もあまり聞かれなくなった近年、重要度が増しているのがブルペンだろう。たとえ大量ビハインドでも投球内容次第で流れを一気に変える可能性もあるからだ。栗山英樹監督(58)は数年前から「うちは全員が“勝ちパターン”」と言い続け、リード、ビハインド、点差に関係なく、若い投手を積極的に重圧が掛かるマウンドに送ってきた。だから現時点で抑えを務める石川直、ベテランの宮西ら一部を除き、明確に役割を定めておらず、「敗戦処理」もいない。どんな状況でも登板する玉井、浦野、井口らが状況次第ではセーブシチュエーションで登板することさえある。

 常々、栗山監督は「シーズンは生き物」と不測の事態となることも念頭に置きながら采配を振るう。現在は抑えの秋吉、開幕投手の上沢も故障で戦線を離脱している。長期的な視野で底上げを図るブルペン陣を駆使して苦境を打開し、再び上位戦線への浮上を目指す。(記者コラム・山田 忠範)

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2019年6月24日のニュース