オルティス氏の回復祈る…思い出すレッドソックス時代の松坂への“粋な演出”

[ 2019年6月15日 09:30 ]

ボストンの病院で2度目の手術を受けたオルティス氏(AP)
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 レッドソックスなどで通算541本塁打を放ったデービッド・オルティス氏が6月9日(日本時間10日)に銃で撃たれ負傷する事件が起きた。故郷ドミニカ共和国の首都サントドミンゴのナイトバーで、男に至近距離から腰を撃たれたもので、11日に2度目の手術を受け回復に向かっているとの報道を見た。

 レッドソックス時代に何度か取材したことがある。とにかくチームにチームメートに熱かった。松坂(現中日)、岡島秀樹氏が在籍していた08年4月末だったと記憶しているが、試合でサヨナラ勝ちした後のクラブハウスで「アイスクリームを返せ!」と大合唱となった。球団幹部はカロリーが高いソフトクリームを排除しようと判断し、シーズン開始早々に製造機を撤去してしまったことへの不満を訴えるものだった。そこで一際大きな声を上げたのがオルティス氏だった。「あのソフトクリームを楽しみにしている選手もいる。節制するも、しないも、個人の自由だ。それより、小さなことでストレスをためる仲間を見る方がいやだ」と話していた。

 テキサス州への遠征では粋な演出もあった。デーゲーム後の高級ステーキハウス。松坂が別テーブルで食事をしているのを発見したオルティス氏は店の責任者を巻き込み、いたずらを敢行。松坂のテーブルに400万円相当の請求書が届いた。高級ワインを手にした右手を掲げ、店を後にするオルティス氏。松坂も何食わぬ顔でサインして応酬した。その後、松坂が会食を終えて席を立とうとすると、前述の責任者が来て「失礼しました。すべての支払いは済んでおりました」と深々と頭を下げた。実は松坂のテーブル分まで支払いを終えていた。翌日のクラブハウス。笑い声が起きたのは言うまでもない。

 試合での闘争心むき出しの打撃とは裏腹に、クラブハウスで不機嫌だった姿を見た記憶はない。軽率なことは言えないが、元気になった姿を早く見せてもらいたい。(記者コラム・倉橋 憲史)

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