阪神・原口、大腸がんから復帰後初マスク「余裕がなかった」

[ 2019年6月9日 05:30 ]

交流戦   阪神5-10日本ハム ( 2019年6月8日    甲子園 )

8回、守備につき笑顔で帰ってくる原口(右)(撮影・平嶋 理子)  
Photo By スポニチ

 阪神・原口がこだわりの場所へ戻ってきた。8回表だ。防具を付け、マスクをかぶり、左手にミットをはめてグラウンドへ飛び出した。代打と両にらみで備え、打順の巡り合わせで「3番・捕手」へ入った。昨年9月14日のヤクルト戦以来、267日ぶりの捕手出場。マスク越しの光景が懐かしかった。

 「余裕がなかった。久しぶりすぎて。緊張感があった」

 馬場とのバッテリーで最初に迎えた横尾には2ボールから3球目を左中間席へ打ち込まれた。続く西川の二ゴロでは一塁のバックアップへ走った。サインを出し、ミットを構える。捕球と送球。慣れ親しんだ動作一つ一つを丁寧にこなした。直後の打席では遊ゴロに倒れ、9回は守屋と組んで無失点に抑えた。

 大腸がんが発覚する前から捕手での勝負を心に決めていた。昨季は代打として名を高めても、昨年末のファンミーティングで「代打の切り札ではなくて正捕手になれるように頑張ります」と表明。決意を病で曲げるような男ではない。
 3月上旬から練習に復帰。まだ別メニュー組だった同下旬から鳴尾浜球場では毎日ブルペン入りし、若手の球を受けた。「ナイスボール」と声で盛り上げ、感じたことを伝えた。「やっぱり楽しいね」。野球ができる喜びをより実感できる時間だった。目の当たりにした育成1位・片山は「あそこまでやられているのは凄い。学ぶことばかり」と感銘を受けた。

 送り出した矢野監督は「意味を持った出場にできた」と強調した。「捕手をやりたいというのを俺も十分分かっている。これから、そういう姿を見せてくれるところで、こっちも使いたいとなってくると思う」。劣勢で同世代の梅野を休ませた捕手出場。新たな一歩を踏み出し、「出られる時にいいものを出していきたい」と次を見据えた。(長谷川 凡記)

続きを表示

2019年6月9日のニュース