ダル6失点も価値ある今季最長マウンド マドン監督「よく投げてくれた」

[ 2019年5月27日 02:30 ]

ナ・リーグ   カブス8―6レッズ ( 2019年5月25日    シカゴ )

レッズ戦に先発し、7回0/3を6失点だったカブスのダルビッシュ
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 5―6で迎えた8回無死。カブスのダルビッシュは、ディートリッチに同点ソロ本塁打を浴びた。2年越しの本拠地初勝利の機会を逃し、続くイグレシアスには自身メジャーワースト、12本目の安打となる左前打。ここで交代し、7回0/3を6失点で降板となった。しかし、地元シカゴのファンは立ち上がり、拍手でねぎらった。

 「チーム状況をファンの人たちも分かっていて、普通だったら8回途中6失点はあまり良くはないけど、みんな立って拍手してくれた。ちょっとうれしかったですね」

 年間162試合の大リーグ。長いシーズンを乗り切るには、時には勝敗を度外視して仲間を休ませるため、誰かが犠牲になる。この日のダルビッシュがそうだった。

 チームは16連戦の12試合目。救援陣が疲弊し、試合前にジョー・マドン監督は「ユウには可能な限り長く投げてもらうしかない」と話していた。直接は告げられなかったというダルビッシュも「もちろんチームの状況を見ていて、言われなくてもわかってはいました」と覚悟していた。

 だからストライクを先行させた。今季は初球ストライク率が55・3%と打者への入り方には慎重だが、この日は34打者中27人に初球ストライクで79%。全体のストライク率も108球中82球の76%と高く、「今日は良いピッチングじゃなくてもいいから、長いイニングを投げたかった」と振り返った。

 本塁から外野方向へ強風が吹いていた悪条件下で、7回を投げ終えて100球。7回2死から内角直球でプイグを空振り三振に斬ったところで、通常ならお役御免と思われた。しかし、トミー・ホットビー投手コーチに「行けるか?」と聞かれ、迷わず8回のマウンドへ。同僚のチャットウッドは「プイグを三振に取り、彼のタンクは空っぽになったように見えた。なのに8回もマウンドに上った。あれは大きかった。根性のあるピッチングだった」と感嘆した。

 8回に同点にされたものの、裏の攻撃で打線が奮起して2点勝ち越し。接戦を制した。勝ち越しの二塁打を打ったボートも「ユーは根性があった」と口をそろえ、「数字は彼が今日、どれくらい凄かったかを伝えていない。素晴らしかった」と称賛。マドン監督も「彼はチームのために戦った。本当によく投げてくれた」と感謝した。

 本拠地初白星には今回も届かなかった。6失点という数字も、決して見栄えは良くない。それでも、ダルビッシュがチームのために果たした役割は、とてつもなく大きかった。(奥田秀樹通信員)

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2019年5月27日のニュース