菊池を変えたエースの自覚 炭谷が明かした昨年までとの違い

[ 2017年5月29日 10:30 ]

西武・菊池
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 西武・菊池が開幕から圧巻の投球を続けている。9試合登板で5勝2敗、リーグトップの防御率1・23。開幕から9試合連続クオリティースタート(6回以上投げて自責点3以下)、8度のハイクオリティースタート(7回以上投げて自責点2以下)と抜群の安定感だ。だが、本人のこだわりは数字以外のところにある。「とにかく勝てばいいです。いくら良い内容でも負けたら意味がない。投げた試合に勝つのがエースと呼ばれる投手だと思う」。

 菊池は西武に入団時から身近なお手本がいた。涌井(現・ロッテ)と4年間、岸(現・楽天)と7年間ともにプレー。球界を代表する両右腕から有形無形の刺激を受けた。「涌井さん、岸さんを尊敬しています。練習量も凄かった。こんなにやるのか、凄いなって…。野球に取り組む姿勢から勉強になることが多かった」と感謝を口にする。

 西武は昨年まで3年連続Bクラスと低迷。今年の下馬評は決して高くなかった。最大の懸念材料は岸が昨オフに楽天へFA移籍して層が薄くなった先発陣。涌井に続き、大黒柱の岸ももういない。今まで弟分だった菊池がエースにならなければいけない立場になった。

 地位が人を作る。エースの自覚が眠っていた潜在能力を引き出したのかもしれない。女房役の炭谷は昨年までとの違いを即答した。「修正能力ですね。持っている球は元々ズバ抜けている。昨年は体のバランスが悪いとそのままズルズルいっていた。でも今年は試合の途中で立て直しができるようになった」。

 度重なる故障もあり、菊池は先発ローテーションで1年間投げ続けたシーズンがない。真価が問われるのはこれからだ。プロ12年目の炭谷は涌井、岸の球を受けて幾多の修羅場をくぐり抜けてきた。「シーズンは長い。連敗している時や困った時に勝ってくれるのがエースだと思います」と思いを込めた。

 今年3月に開催されたWBCとは縁がなかったが、150キロを超える直球と精度の高い変化球を駆使する先発左腕は希少価値が高い。「いやいや、僕は全然ですよ」と菊池は謙遜するが、侍ジャパンに選出される資質を十分に持っていると思う。西武のエースから日本を代表するエースに駆け上がって欲しい。(記者コラム 平尾 類)

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2017年5月29日のニュース