広島“代打の切り札”龍馬で奪首!両リーグ最多17度目逆転勝ち

[ 2017年5月29日 05:30 ]

セ・リーグ   広島3―2巨人 ( 2017年5月28日    東京ドーム )

<巨・広>延長10回2死二塁、代打・西川はカミネロから左越えに勝ち越し二塁打を放つ
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 痛烈な打球が、前進守備の左翼・石川の頭上を軽々と越えていった。延長10回2死二塁。決めたのは広島の代打・西川だ。カミネロが投じた142キロ外角カットボールを逆らわずに振り抜いた。値千金の決勝二塁打。若き代打の切り札は、ベース上で精悍(せいかん)な顔をほころばせた。

 「捕られるかなと思った。何とか抜けて良かった。逆らわず逆方向に打ったのが良かったです」。これで両リーグ最多の今季17度目の逆転勝ち。昨季45度を数えた「逆転のカープ」は今年も健在だ。巨人戦は7連勝で巨人の本拠地での6連勝は球団史上初。チームを今月5日以来の首位に押し上げ「良かった」を連発した。

 今季15度目の起用で13打数6安打7打点で打率・462と驚異的な代打成功率を誇る。この日は6回から準備を開始。「いい集中力を持ち打席に入れている」と、前回対戦でカミネロから安打を放った丸から情報を聞きイメージを膨らませてひと振りに懸けた。

 もともと右打ち。大阪では小1から軟式の福崎ヤンチャーズに在籍し「小学5年か6年で父に命じられて」左打ちを始めた。その初打席が遊直、2打席目には右前にはじき返したという。同学年の鈴木も「あのバットコントロールは凄い」と認める天賦の才がある。WBCに参戦した菊池、田中の内野レギュラー陣を脅かす存在として期待された2年目は、3月11日のヤクルトとのオープン戦(福山)で自打球を右膝に当て離脱し、4月22日に1軍昇格。今季2度目の決勝打となった。

 「全員で勝利をもぎ取った。西川も頼もしい姿を見せてくれた」。緒方監督も満足そうだ。7回にはエルドレッドが巨人戦6発目となる13号同点2ラン。対戦打率・400の鈴木ら主軸がしっかり結果を残す。首位で交流戦に臨むのは2年連続だが、昨季は貯金6。今季は5連勝で貯金は2桁の10と勢いが違う。

 西川龍馬。父が坂本龍馬が好きで付けられたという。「試合に出て結果を残したい。交流戦でも連勝を続けたい」。貪欲な22歳がチームの勝負強さを支えている。 (江尾 卓也)

 ▼広島・エルドレッド(7回1死一塁で2試合連発となる同点の13号2ラン)2球続けて同じ球が来た。タイミング、軌道が同じだったのでしっかり振り抜けた。

 ◆西川 龍馬(にしかわ・りょうま)1994年(平6)12月10日、大阪生まれの22歳。敦賀気比3年春にセンバツ出場。王子では15年の都市対抗でベスト4に進み優秀選手賞に輝いた。15年ドラフト5位で入団。昨年3月27日のDeNA戦でプロ初打席初安打。シーズン62試合で打率.294の成績を残した。1メートル76、70キロ。右投げ左打ち。

 ≪42年ぶり巨人戦7連勝≫広島が巨人に3連勝―●―7連勝と11試合で10勝をマーク。広島の巨人戦7連勝は75年に9月5日の19回戦から10月15日の26回戦まで1分けを挟んで7連勝したのに並ぶ最多連勝となった。また、カード別で広島がシーズン初対戦から11試合以下で10勝を挙げるのは87年大洋戦11試合(10勝1敗)、88年阪神戦10試合(10勝0敗)、12年DeNA戦11試合(10勝1敗)に次いで4度目、巨人戦では初めて。今季広島の巨人戦チーム打率は・299。規定打席に達している6人中3割以上が4人。対照的に巨人は広島戦の打率は・208と低迷している。

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