雄星、マー君に続く快挙なるか…開幕からQS率100%

[ 2017年5月27日 10:20 ]

26日の楽天戦で8回1失点の力投で5勝目を挙げた西武・菊池
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 西武・菊池が26日の楽天戦で、今季両リーグ通じてただ一人のクオリティースタート(QS=先発して6回以上、3自責点以下)100%を守る8回1失点の力投で5勝目を挙げた。今季開幕から9戦連続QS。昨季からの年またぎだと10戦連続となる。

 投手の勝利数は援護点や救援投手にも左右されるため、QSは勝利数以上に先発投手の能力を表すものとされる。防御率もリーグトップの1・23を誇る左腕は「まだ試合は多く残っているし、個人的な数字に意識はない。チームを勝たせる投球をしたい」と話すが、試合の勝敗を左右するQSとなると話は別だろう。

 QSは80年代半ばに米国で提唱された数字だけあり、球数制限が厳しいメジャーではより身近で重要視される指標。もっとも今季のメジャーでも、開幕からQS100%を続けるのはマイク・リーク(カージナルス)と、マイケル・フルマー(タイガース)の2人しかいない。

 最近のQSで思い出されるのは田中将大だろう。楽天時代の13年に24勝0敗をマークしたが、この年は先発した全27試合でQSを達成するQS率100%。その前年から、ヤンキース移籍後の14年6月まで日米をまたぎ50先発連続QSを達成し、ギネス記録にも認定された。ちなみにメジャーの連続QS記録はボブ・ギブソンの26試合連続(67〜68試合)。シーズン最高QS率はグレグ・マダックスの96%となっている。

 日本では「2桁勝利」「○勝右腕」など勝ち星をまず枕詞とする風潮が濃く、名球会入りの条件も先発投手は200勝だ。だが、単純に勝ち星には表れない先発投手としての価値観がQSにはある。

 米時間5月25日までで、田中は今季5勝で日米通算143勝。2学年上のダルビッシュも今季5勝で日米通算144勝と、2人の勝利数差はわずか1つしかない。オフの間に、そのことが話題となることがあった。

 「1勝差というのは知っていますよ」と田中。「でも投手につく勝ち星というのは、いつも言うように自分でどうこうできるものではない。僕もそうだし、きっとダルさんも全く気にしていないと思いますよ」と笑っていた。

 「むしろ年間通じて投げること、それも長いイニングを任されること。その上で失点は少なければいい。QSもそうですけど、もっと上のレベルの投球を一つでも多く重ねることだと思う」とQSの世界記録保持者は続けた。白星は後からついてくるもの、という考えは変わらない。

 菊池は田中が13年に残したQS率100%にどこまで近づけるのか。少なくとも、現在の規定投球回到達投手でその権利を有しているのは菊池ただ一人だ。(記者コラム・後藤 茂樹)

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2017年5月27日のニュース