打率・417!近藤覚醒の秘密 技術と選球眼で効率UP

[ 2017年5月23日 09:20 ]

日本ハムの近藤。今年のフォーム(左)と以前のフォーム
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 日本ハムの近藤健介捕手(23)が打ちまくっている。22日現在で、打率は両リーグ断トツの.417で、夢のシーズン4割への期待も出てくる。昨季は左膝痛で80試合の出場にとどまったが、故障が癒えたことでどんな効果を生んでいるのか。プロ6年目で天性の打撃センスが開花した理由に迫る。(山田忠範、柳原直之)

 現時点で苦手なコースは見当たらない。ストライクゾーン9分割の全てで高打率をマーク。内角低め以外は、3割以上をマークする。他球団関係者から「左の内川(ソフトバンク)」という声も聞こえる。

 (1)バットコントロール 突然、ブレークしたわけではない。高卒1年目から1軍デビューを飾り、4年目の15年はリーグ3位の打率.326をマーク。若手を積極起用する日本ハムの育成システムが生んだ、たまものだった。そのシーズン前に近藤は打撃フォームを改造した。「(田中)賢介さんが(米国から)帰ってきてから、思い切ってマネしてみようと思った」。体重を後ろに残し、回転で回るスイングから、投手側にしっかり体重移動しながら、体の中心で打つ打法に一新した。「後ろ(捕手寄り)で打ちたかったけど力がない分、差されることがあった。体重移動しながら打つとスムーズにバットが出る。自分の力で振らなくていい。体重移動の中で打ちにいける」。15年に残った手応えは、翌16年に左膝痛の影響で80試合の出場にとどまっても染みついていた。

 (2)左膝痛の完治 近藤は「バッティングはタイミングが全て」と言い切り、「今年はその取り方が良い。(昨年は)軸足の左足(膝)を痛めていたので体が自然と怖がっていた」と自己分析する。膝痛の完治が普段の打撃練習にも「変化」をもたらした。「試合になると(タイミングを取る動きが)早くなる。練習の時はゆったりを心掛けている」。ゆったりと右足を上げタイミングを取る。痛みがなく、体重移動に移る前に、左足に体重をためる動きが苦ではなくなった。「低めのボールは(体を)開かずに前に泳がされればいいと思っている。前に行って拾うイメージ」。厳しい低めへの対応力も向上。「間」が生まれボールを見る時間も自然と長くなった。四球数は両リーグトップの45。技術と選球眼に磨きがかかった。

 (3)精神的余裕 本職は捕手。「打てる捕手」への思いは捨てていないが、今季は打撃に集中し、開幕は「5番・右翼」。直後に大谷が左太腿裏の肉離れで戦線離脱したため「3番・DHもしくは右翼」が定位置となった。「昨季までは調子を崩した時に練習をやり過ぎた。今年は淡々とやろうと」。起用法が固定されたこともプラスに働く。多少の好不調に影響されない精神的余裕が生まれた。だから、中長期的な視点で取り組みもできる。今季からシーズン中の筋力トレーニングを導入。「今までは体が張るのが嫌だった」と言うが、故障予防に成果が出始めている。全てが進化へのベクトルを生み「理想の打撃」に近づいている。

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2017年5月23日のニュース