4年前の借り返す!重盗侍だ 17年初勝利呼んだ世界一へのサイン

[ 2017年3月2日 06:16 ]

侍ジャパン壮行試合第2戦   日本9―1台湾プロ選抜 ( 2017年3月1日    ヤフオクドーム )

<台湾プロ選抜・日本>5回、1死一、二塁、重盗で三盗を決める秋山(野手・林智平)
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 第4回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場する侍ジャパンは1日、台湾プロ選抜と壮行試合第2戦を行い、9―1で快勝。開幕前の実戦3試合目で初勝利を挙げた。1―0の5回1死一、二塁で二塁走者の秋山翔吾外野手(28=西武)と一塁走者の坂本勇人内野手(28=巨人)が重盗に成功。好機を広げて2点を追加し、突き放した。前回13年の準決勝・プエルトリコ戦で重盗失敗し3連覇を逃した侍ジャパン。4年前の悪夢も振り払い、世界一奪還に向かう。

 小久保監督の右隣に陣取った奈良原ヘッドコーチがストップウオッチを手に小さくうなずく。1―0の5回1死一、二塁、打席には4番・筒香。1ストライクからの2球目だった。二塁走者の秋山が好スタートを切り、三塁を陥れる。一塁走者の坂本勇も秋山の動きに呼応し、二塁へ。重盗成功。好機を広げて2点を追加し、突き放した。

 「1ストライクからのサインで、筒香もよく自己犠牲で見逃してくれた。ベンチの思惑と選手の考えが一致した。初回の先制の後、なかなか点が入らなかったが、いい攻撃だったと思う」

 指揮官はそう評した。3回から登板した左腕ニコラスのタイミングを計っていた。3回1死一、二塁、4回は1死二塁。二塁走者がいても高く足を上げることを確認できた。三盗の成功の基準は、投手が投球動作を起こしてから、捕手のミットに届くまで「1・6秒」とされる。奈良原ヘッドの手元には「1・70」の数字が出ていた。

 4年前と状況は同じだった。世界一3連覇の夢を絶たれた準決勝・プエルトリコ戦の重盗失敗も1死一、二塁で、左腕、打者も4番の阿部(巨人)だった。ただ、当時と違ったのは、選手の判断で走ってもいい「グリーンライト」ではなく、ベンチからサインが出たこと。そして、数度タイミングを計ったことだ。「投手が複数イニング投げていた。最初から1発でスタートを切ることはギャンブル的な要素があるので無理」と指揮官。二塁走者の秋山も「前の打席で、二塁でモーションの傾向も見られた。相手の隙を見て根拠があれば、打つよりも成功率は高い」と胸を張った。100%成功できるとベンチも選手も信じられた。

 6回にも2盗塁を絡めて4得点。計4盗塁に加え、2つの犠打も絡めて効率よく9安打で9得点を奪った。侍ジャパンらしい機動力を駆使し、大会前の実戦3戦目で待望の初勝利。重盗から、侍打線は動きだした。

 ただ、指揮官は反省点も口にする。6回無死一塁で田中の右前打で、一塁走者の平田が二塁でストップした場面だ。

 「隙があったら行くし、隙を突くための準備をキッチリするということ。ただ6回は平田が三塁まで行って、一、三塁にしなきゃいけなかった」

 ワンプレーもおろそかにしない。2連敗の試合後よりも厳しい表情をのぞかせたのも、妥協を許さない指揮官らしかった。 (倉橋 憲史)

 ▼13年第3回WBCの重盗失敗 3月17日、サンフランシスコでのプエルトリコとの準決勝。2点を追う8回1死一、二塁。二塁走者・井端、一塁走者・内川、打席には4番・阿部の場面で「重盗OK」のグリーンライトのサインが出た。2球目。二塁走者・井端が一度はスタートを切ったが、タイミングが遅れたため帰塁。その動きに気づかなかった一塁走者・内川は、二塁手前まで全力疾走し、急停車。なすすべなく立ち止まったところでタッチアウトとなり、そのまま1―3で敗れた。

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2017年3月2日のニュース