広島連勝!日本S初リプレー検証でセーフに 連夜の神ってる決勝点

[ 2016年10月24日 05:30 ]

SMBC日本シリーズ2016第2戦 ( 2016年10月23日    マツダ )

<広・日>6回無死二塁、菊池の左前打で本塁突入する二走・田中(左)。捕手・大野がタッチしているようにも見えるが、判定が覆りセーフに
Photo By スポニチ

 SMBC日本シリーズ2016は23日、広島が5―1で日本ハムに連勝した。同点の6回無死二塁から菊池涼介内野手(26)が自らの判断でバスターに切り替え、左前適時打。二塁走者の田中広輔内野手(27)の本塁突入が一度はアウト判定されながら日本シリーズ史上初のリプレー検証で覆って決勝点になった。前夜に続く「神ってる」攻撃がさく裂。25日の第3戦(札幌ドーム)に先発する黒田博樹投手(41)へ最高の形でバトンをつないだ。

 セ界を制圧した縦横無尽のカープ野球がまたしても展開された。1―1の6回、先頭の田中が左翼線二塁打で出塁。ここで2番・菊池は2ボール1ストライクからの4球目にバントの構えから意表を突くバスターに転じた。高めのボール球を叩きつけると、バントシフトで二塁ベースへ走った遊撃手・中島の脇を抜け、左中間へ転がった。

 無死という状況を考えると、無理に突っ込む場面ではなかったが、河田三塁コーチの手がグルグル回る。クロスプレーとなった本塁の判定はアウト。しかし、緒方監督がベンチを飛び出し、審判団が集まってリプレー検証に入った。3分以上の時間をかけた後、責任審判の丹波二塁塁審がマイクを握った。「田中選手の手が先にホームに届いたので、セーフとしてプレーを再開します」。場内アナウンスにマツダスタジアムは狂喜乱舞だ。

 「感覚的には手の方が先。(捕手の)タッチも触れていないしね」。田中は捕手・大野の追いタッチをかいくぐり、左手一本で本塁に触れていた。日本シリーズ史上初のリプレー検証で判定が覆り、決勝点となった。

 第1戦も2回に重盗を仕掛け、鈴木の日本シリーズ47年ぶりとなる本盗で先制点を奪った。連夜の「神走塁」だが、それを演出したのは、菊池の自己判断だった。試合後「サインはバントだった」と明かした。だが、一塁手・中田が前に守っているのを見て、自らバスターに切り替えた。2ボールからの3球目を見逃してストライク。「高めの球でバントフライを誘いにきていたので、1球見たかった」。相手の球筋を確かめると、4球目は「最初から(バスターすると)決めていた」と、内角高めの球を強引に叩きつけた。

 「一塁方向を狙ったが、内角に来たので、あそこ(遊撃方向)に飛んだ。シーズン中も、そんなにはやっていないですけど、ミーティングで(バスターに自己判断で切り替えることを)やっていいと言われていた」

 確かな技術と野球IQの高さを証明する菊池の一打。この回一挙4点を奪い、緒方監督も「自分のアイデアを含め選手がいろんな攻撃にトライしてくれている。素晴らしい攻撃」と破顔一笑だ。

 思い起こせば6月14日の西武戦(マツダ)で、リプレー検証によるコリジョンルール適用でのサヨナラ勝利を収め、そこから破竹の11連勝で独走態勢に入った。「2連勝は大きい。ただ、相手のホームに行くわけだから一戦一戦、ウチの野球をやるだけ」。指揮官の言葉にも力が入る。V確率は76%。このまま一気に王手をかける。

 ≪今季から検証拡大≫日本球界でリプレー検証は昨季まで外野フェンス際の飛球の判定だけに使われていたが、米国にならい、本塁上での危険な接触を防ぐための「コリジョンルール」を今季から導入。これに伴い判定の範囲が拡大され、アウト、セーフ確認のためのリプレー検証もスタートした。大リーグでのリプレー検証は「チャレンジ」制度として14年から拡大。ストライク、ボールの判定などを除く、ほとんどのプレーに適用されている。

 ▽広島の今年6月14日のリプレー検証でのサヨナラ勝ち 西武戦(マツダ)で同点の9回2死一、二塁から赤松の中前打で、二塁走者・菊池が本塁に突入もタッチアウトの判定。リプレー検証の結果、捕手・上本が菊池の走路をふさいだとして「コリジョンルール」を適用され、判定がセーフへ覆った。同ルール適用は4度目で、サヨナラ勝ちは初めて。チームはこの試合から11連勝した。

続きを表示

この記事のフォト

2016年10月24日のニュース