阪神・岩崎 2カ月ぶり2勝目 99キロチェンジアップで幻惑

[ 2016年8月1日 05:30 ]

<神・中>2勝目を挙げた岩崎は逆転打の狩野(右)とともに笑顔でガッツポーズ

セ・リーグ 阪神6―1中日

(7月31日 甲子園)
 ケジメの力投だ。前回登板で2回7失点KOされた阪神・岩崎は、2回に先制点を献上したものの、立ち直って7回3安打1失点。自身に送られた代打・狩野の逆転打で、5月28日の巨人戦以来となる2勝目を手にした。

 「とにかく、(失点は2回の)その1点でいくことを考えて投げた。緩急もうまく使えた。前回、チームに迷惑かけたので、きょうは迷惑かけられなかった」

 好投の要因に挙げた緩急の“隠し味”が6回先頭のエルナンデスを三ゴロに打ち取った99キロのチェンジアップ。勝負球の110キロ台と使い分けるため、実は大学時代にも習得に励んだ。しかし、キャッチボールですら10メートルしか投げられず「故障しそうなんで、一旦やめました」と断念。プロで肩肘も強化したことで、6月の交流戦から投げ始めた“新球”だった。あらゆる手を尽くし、先発として役割を果たした。

 軽率な行動を取った自分が、今でも恥ずかしい。キャンプ中に背中を痛めて出遅れ、2軍調整を強いられた5月下旬。鳴尾浜球場で二塁けん制練習の際、ベースに入った内野手とタイミングが合わず、送球できなかった。普段なら「もう一丁」と、やり直すが、無意識に、そのままマウンドを降りて他の投手陣の列の後ろに回っていた。

 その後、ブルペン投球でも、精彩を欠くと、コンビを組んでいた先輩捕手に「今日、集中力ないぞ。さっきのけん制も、しっかりやっとかないと1軍でミスするだけや」と厳しく指摘された。

 「あれだけ厳しく言われたのはプロで初めてだった。ケガして出遅れて…どこかで自分の気持ちが切れていたんだと思う。もう一度、気を引き締め直すというか、あの日があったから、1軍を目指す気持ちをより強くすることができた」

 長いトンネルからようやく抜け出した。「(8回も)いける体だったので、次また粘れるように、準備します」。昨年は8月に3連勝をマークし、チームを救った。夏男の降臨を告げる熱い、熱い、105球だった。 (遠藤 礼)

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