稲葉「ここで打つかー、と自分でも」記念試合で代打逆転V2ラン

[ 2014年10月1日 05:30 ]

<日・西>7回、稲葉の打席でタオルを手に応援するファン

パ・リーグ 日本ハム4-3西武

(9月30日 札幌D)
 いつまでもどよめきが収まらなかった。2―3の7回2死二塁。代打で打席に立った日本ハム・稲葉が逆転2ランを放ち、満面の笑みでダイヤモンドを一周した。

 「ここで打つかー、と自分でも思った。自分を褒めたことはないが、きょうは褒めてもいいかな。札幌ドームで最後に打ちたいと思っていたので、いい打撃ができた。本当にうれしい。ベースを回る間、ずっとにやけていたでしょ」

 9月2日に今季限りでの引退を表明してからは、好機にかかわらず全打席で「稲葉ジャンプ」が起こるのが当たり前の光景となった。好球必打が原則の代打でも「初球は待った方がいいのかな」と自問自答していた。跳びはねることを楽しみにしているファンがたくさんいる。この日も1球目は見送り、2球目の「見逃せばボールかも」という高めの内角球を体の回転でうまく引っ張って右越えに運んだ。

 球団はこの日の試合を「稲葉篤紀選手 引退メモリアル“THANKS FANS!”~夢と感動をありがとう~」と銘打って開催した。今季レギュラーシーズン最終戦となる5日の楽天戦(札幌ドーム)が本来の引退試合とはなるが、一人でも多くのファンに最後の雄姿を観戦してもらうために、球団側が異例の「2試合制」の引退セレモニーを用意した形だ。この日の来場者には記念タオルが配布された。平日にもかかわらず3万3143人の観衆が詰めかけ、赤と白のタオルを掲げての「稲葉ジャンプ」。その光景に、稲葉も打席内で「凄くきれいだな」と思わずつぶやいたという。

 試合後はスタンドで号泣するファンもいたが、お立ち台で「最後まで涙はとっておいてください。僕も我慢します。最後まで一緒に戦いましょう」と呼びかけた。それでも、ベンチ裏に戻った稲葉の顔は今にも泣き出しそうだった。「CSもあるし、日本シリーズに出れば札幌ドームに戻れる。でも、引退試合では目いっぱい泣いちゃおうかな。シーズン最後だしね」。どこまでも正直な男だった。

 ▼日本ハム・栗山監督(稲葉の逆転2ランに)打て、と言っても打てるものではない。感動しました。

 ≪代打逆転弾は初めて≫稲葉(日)が7回に代打決勝2ラン。代打本塁打は17日の西武戦に次ぎ自身7本目になるが、逆転の肩書は初めて。また、代打決勝本塁打もプロ20年目、通算261本目で初となった。なお、日本ハム打者の代打逆転本塁打は、03年4月21日のダイエー戦で、島田一輝が杉内(現巨人)から打って以来11年ぶりだ。

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