ダル 挑発に“どやK”返し!MVP男の場外弾に燃えた

[ 2013年3月25日 06:00 ]

<レッズ・レンジャーズ>闘争心全開の投球を見せたダルビッシュ

オープン戦 レンジャーズ6―2レッズ

(3月23日 グッドイヤー)
 レンジャーズのダルビッシュ有投手(26)が23日(日本時間24日)、レッズとのオープン戦で12日ぶりに登板し、5回3安打2失点。初回に10年ナ・リーグMVPのジョーイ・ボット内野手(29)に場外本塁打を浴び「挑発ポーズ」もされたが、続く対戦ではメジャー移籍後最速の98マイル(約158キロ)を記録するなど空振り三振でリベンジした。首痛の不安も一掃し、開幕第2戦となる4月2日(同3日)のアストロズ戦先発へ、心身ともに仕上がった。

 オープン戦とはいえ、自然とスイッチが入った。4回1死、ダルビッシュがボットの初球に投じた直球は、ネット裏スカウトのスピードガンで98マイルを計測。参考記録ながら、メジャー移籍後最速を叩き出した。2ボール2ストライクから、最後は内角低めの96マイル(約154キロ)直球。10年リーグMVPで、ナ・リーグ屈指の強打者に窮屈なハーフスイングしかさせず空振り三振に仕留めた。

 「ちゃんとやり返せたのは良かった」。こう力強く言い放ったのには、伏線があった。初回2死での初対戦。2球目、65マイル(約105キロ)のスローカーブをボットがぼう然と見送ると、レッズの本拠地球場の観衆はどっと沸いた。これがMVP男の闘志に火を付けた。4球目も再び62マイル(約100キロ)のスローカーブ。今度はじっくりボールを引きつけて強振すると、打球は右中間の場外へ。オープン戦ならではの配球ともいえるが、打たれたダルビッシュも「完璧。いい打撃をされた」とマウンドで苦笑いするほどの特大弾だった。

 ただ、ボットはこれだけでは満足しなかった。捕手ソトに何かを発してベースを1周すると、本塁を踏んだ後に人さし指を口にあてた。観衆に向けて「これぐらいのカーブで騒ぐなよ」と言わんばかりのポーズ。「オープン戦だから観客と遊んだだけ。意図はない」としたが、過剰なジェスチャーは大リーグでは挑発行為とみなされる。怒りを買ってもおかしくはないが、ダルビッシュは冷静だった。

 「口に手を付けた意味は分かっていなかった。チームメートに聞いてそういうことだったと思ったけど、別に何も思わない」。態度より投球で示す。4回は力でねじ伏せ、ボットを黙らせた。

 首の張りで18日の先発を回避し、中11日となったが、5回78球を投げ、3安打でソロ本塁打2本による2失点。同地区のエンゼルスのスカウトが偵察する中、練習中のチェンジアップも試し、フレージャーの一発以外は効果的に使えた。

 次回はテキサス州に戻り、28日(同29日)に練習試合に登板する。「まだ全部が実戦的な配球になっていないが、だいぶ近づいてきた。いつ開幕しても大丈夫」。闘争心も本番モードに入ってきた。進化の2年目。準備は整った。

 ▼レンジャーズ、ロン・ワシントン監督 ミスは本塁打された2球だけ。直球には伸びがあり、全体的に非常に良かった。先発回避した後だから5回投げれば十分。

 ▼レンジャーズ・ソト ボットの本塁打は、追い込んでから直球系を狙っていると思って緩いカーブを要求した。シーズン中は(2度も)サインを出さないけどね。いつ開幕しても大丈夫。

 ◆ジョーイ・ボット 1983年9月10日、カナダ・トロント生まれの29歳。02年ドラフト2巡目でレッズ入り。07年にメジャーデビューを果たすと、10年には打率.324、37本塁打、113打点でナ・リーグMVPを獲得。同年からは3年連続でリーグ最高出塁率と球宴選出。昨年4月に結んだ14年からの10年総額2億2500万ドル(約213億7500万円)の契約は、大リーグ歴代4位の高額契約。09、13年WBCカナダ代表。1メートル91、102キロ。右投げ左打ち。

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2013年3月25日のニュース