浦学 感謝の完封!森監督 憧れの土佐に学んだ「一球の集中力」

[ 2013年3月25日 06:00 ]

<浦和学院・土佐>初戦を突破してアルプススタンドに向かってダッシュする浦和学院ナイン

第85回センバツ高校野球大会第3日2回戦 浦和学院4―0土佐

(3月24日 甲子園)
 2回戦3試合が行われた。第3試合は浦和学院(埼玉)がエース左腕の小島和哉投手(2年)が土佐(高知)相手に6安打完封勝利をマーク。チームは3季連続の初戦突破を決めた。第2試合は北照(北海道)が菰野(三重)を7―0で破り、3回戦進出。前日の遠軽に続き、北海道勢2校の初戦突破は89年以来24年ぶり4度目で、ともに完封発進は初となった。

 爽やかなゲームセットだ。勝って学び、成長させてもらった。一塁ベンチの前、浦和学院・森士監督は整列する土佐に深々と頭を下げた。

 「さすが土佐高校だなと…。憧れた高校と監督になって対戦するなんて夢にも思わなかった。収穫の大きい試合。学ばせてもらいました」

 4―0。エース・小島が6安打で完封し、8回に山根主将の2点タイムリーで試合を決めた。理想的な展開。それができたのも土佐という相手があればこそだった。「今でも覚えてます。僕は小学5年生。物心ついたとき、土佐の試合をテレビで見て高校野球を志したんです」。75年夏の甲子園。テレビ画面から全力疾走する伝統校が飛び込んできた。土佐―上尾の3回戦。それが森監督の原点となった。その試合に勝った上尾に進み、東洋大を経て指導者に。あれから38年、今度は教え子たちが土佐から多くを吸収してくれた。

 マウンドで頼もしくなったのは小島だ。ピンチに動じず6安打完封。1点差の4回1死二、三塁では、スクイズに来た久保田を高めの直球で空振りさせた。「三塁走者の動きを見て、やりにくい高めを投げた」。昨夏の甲子園で集中力を欠いて失点した天理との3回戦の経験を生かした。二塁手・贄(にえ)も5回2死二塁のピンチで一、二塁間のゴロに横っ跳びの美技で失点阻止。「体が自然に反応した」。昨秋から毎朝5時にグラウンドへ出てきてノックを受けた成果だった。

 森監督は言った。「土佐の素晴らしさは一球の集中力。こういう試合をしたかった」。土佐から学び、土佐の大応援の中で学んだことを体現できた。小島も贄も一球に集中し、これで3季連続の甲子園で3季連続初戦突破。浦和学院はこのまま全力疾走で春を駆け抜ける。

 ▼浦和学院・山根主将(8回に試合を決める中前2点打)打ったのは外角低めの直球。うまく反応できた。土佐はリードしてても勝っている気分にさせてもらえなかった。

 ◇1975年夏(57回大会) 土佐は2回戦の桂(京都)戦で4番・玉川寿が史上2人目のサイクル安打を達成。3回戦で上尾(埼玉)に3―4で敗れた。上尾は準々決勝で、原辰徳(現巨人監督)の東海大相模(神奈川)にも勝ってベスト4。この大会で優勝したのはエース・小川淳司(現ヤクルト監督)を擁する習志野(千葉)だった。

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