藤浪に「19」大先輩がエール 「マウンドでは鉄仮面かぶれ」

[ 2012年11月1日 12:01 ]

  阪神の第7代背番号19で、「鉄仮面」のニックネームを持つ藤井栄治氏(72)が31日、新たに背番号19を背負う、ドラフト1位・藤浪晋太郎投手(18)にエールを送った。現役時代の経験則から、「普段はワイワイ言っていても、マウンドではピシャッと決まる人がいい成績を残していた」と感情を表に出さないことを薦めた。

 鉄仮面のニックネームは、「感情を全然、表情に出さないので、関大時代の後輩たちが付けた」という。阪神入団後も終始、無表情だった。

 「表情に出す人もいるが、投手の場合、表情に出さない方がいい。マウンドで表情に出すと、軽い人間みたいに感じる」

 藤井氏は62年から12年間、阪神に在籍した。当時は小山正明、村山実、バッキー、江夏豊らを擁する、投手王国だった。「先発する人はピリピリしていて、近寄れなかった。“きょう先発だな”と分かった」

 天与の資質にも着目する。最大の武器である「1メートル97の身長」。南海と戦った64年の日本シリーズで阪神の前に立ちふさがった、身長1メートル96のスタンカをダブらせる。

 「身長がある上に、投げる時に体も前に出てくる。ものすごく威圧感があったし、マウンドからの距離も短く感じた」

 そのスタンカに第1、6、7戦で完封負けを喫した。「身長があるので打者の目線が上がる。重心も上がる。重心を下半身に置いておかないと軸がズレいいスイングができない」

 注文もある。「ランニングの重要性を認識しておいてほしい」。お手本には日本球界最多の400勝投手・金田正一、同3位の320勝投手・小山正明の両氏を挙げた。

 「身長がある人は足も長い。膝の関節を鍛えて粘りのある下半身を作らないと、もたない。肩や肘にも負担がかかる」

 金田、小山両氏ともに「身長があったが、よく走った」という。その鍛錬で「関節の粘りが生まれ、フォームのバランスが良くなり、タイミングもズラせた」ともいう。藤井氏の自宅電話番号は「1919」で終わる。12年間つけた19への思い入れは強く、後輩になる藤浪の活躍も願う。

 ◆藤井 栄治(ふじい・えいじ) 1940年(昭15)2月1日、堺市出身の72歳。登美丘、関大を経て62年に阪神入り。強打の外野手として62、64年のリーグVに貢献。守備にも優れ、67年から73年にかけて外野手の連続守備機会無失策817(連続シーズン)のセ・リーグ記録を樹立した。その後、74年太平洋、77年阪急と移籍し、78年限りで引退。通算成績は1650試合、打率・260、73本塁打、545打点。1メートル72、右投げ左打ち。

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2012年11月1日のニュース