吉見討ち!バレまた3発 驚異の長打力は右打ちの賜物

[ 2012年7月5日 06:00 ]

<ヤ・中>試合後、本塁打3発を放ったヤクルトのバレンティンの両腕に、応援ダンスチーム「パッション」のメンバーがぶら下がる

セ・リーグ ヤクルト12-4中日

(7月4日 神宮)
 中日の中堅手・大島が、あ然とした表情でバックスクリーンに飛び込む白球を見つめた。ヤクルトのバレンティンが、8回にこの日3本目となる23号2ラン。怪力ぶりを誇示するかのように、悠然とダイヤモンドを一周した。

 「手応えはあった。芯に当たれば飛んでいくと思っているから。右にコンパクトに打つように。3本目なんかそうだよ」と大勝に導いた大砲はこともなげに振り返った。

 相手の先発は昨季14打数1安打、打率・071と苦しんだ吉見。だが2回に初球の内角シュートを左翼席に運ぶ先制2ラン。「走者がいた。詰まらせるために内角に来る」。読み勝ちだった。6回には試合を決定づける3ランを左翼へ。そして第5打席のバックスクリーン弾。今季2度目の1試合3本塁打で8打点とまさに独り舞台だった。

 昨季は31発を放ち本塁打王を獲得しながら、大振りが続き後半に大失速。その反省を生かし、今季は打撃練習から右打ちを実践している。体の開きをギリギリまで我慢することで、バットがインサイドから出てくるようになった。その結果、持ち前のパワーをより球に伝えることができるようになった。

 2日に、監督推薦で2年連続の球宴出場が決まった。「本塁打は狙わずシーズン同様のスイングができれば」。夢の舞台でも意識は変えない。芯に当てる気持ちさえ持てば打球は飛んでいく。そのことが分かった今、怖いものはない。小川監督は「凄いとしか言いようがない」とあまりの大活躍に言葉を失い、伊勢総合コーチは「(今のバレンティンには)放るところがないんとちゃうか」と賛辞を贈った。

 23本塁打は、2位ブランコ(中日)に7本差をつける断然のトップ。さらに68試合で23発は144試合で48発ペース。チーム記録の岩村、ペタジーニの44本を抜く勢いだ。「夏は自分的には気温が上がってきて好調になるよ」。助っ人のバットは、暑い季節にさらに勢いを増していく。

 ▼バレンティンの1試合3発 5月1日のDeNA戦(横浜)でマーク。2、5回に山本から7、8号ソロを左翼、左中間席へ叩き込むと、8回には篠原からバックスクリーン左へ2ランを放った。昨年5月13日の横浜(現DeNA)戦(横浜)でも1試合3発を記録しており、この日を含め3度目の1試合3発は球団史上初となった。

 ≪2年で3度は統一球導入後初≫バレンティン(ヤ)が今季2度目、通算3度目の1試合3ホーマー。1試合3本塁打をシーズン2度以上は、昨年スレッジ(横=現日)以来12人、13度目で、チーム初の快挙だ。また、ゲーム3発を通算3度以上はブライアント(近)の8度を筆頭に21人目。うち、2年で3度は統一球導入後初、歴代でも89、90年ブライアントの5度以来6人、7度目の達成ラッシュになった。なお、この日は8打点。02年ラミレス(現D)の9打点に次ぎ、76年ロジャー、79年スコット、93年池山に並ぶ球団2位タイとした。

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2012年7月5日のニュース