青木資金でスタンドできる 老朽化の戸田2軍施設改修

[ 2012年1月21日 06:00 ]

ブルワーズ入りの決まった青木は花束と帽子を手に笑顔

 「青木スタンド」ができる!ヤクルトの衣笠剛球団社長兼オーナー代行(63)は20日、改修工事を予定している埼玉県戸田市内の2軍グラウンドを視察。青木宣親外野手(30)のブルワーズ移籍で手にしたポスティング資金も活用し、「青木」の名前を同地に残したい考えを明らかにした。その青木はこの日、都内の球団事務所で会見を行い、メジャーでの活躍を誓った。

 雪が舞う中、戸田の2軍施設を見て回った衣笠社長は笑顔で、あるプランを口にした。「改修工事は、青木君の資金も利用してね。戸田に何かしらのものを残したい。ネットとかスタンドとかに(青木の)名前をつけたりとかね」。ヤクルトからメジャーへ旅立つ青木への感謝を、何か形で残したいとの考えからだ。

 ヤクルトは昨季、本拠地の神宮でクライマックスシリーズを初開催。約3億円の利益を投入し、室内練習場など老朽化した施設の改修工事を行うことを決定している。そこに「青木資金」が加わる。ポスティング・システム(入札制度)で青木を獲得したブルワーズがヤクルトに支払う入札金は250万ドル(約1億9250万円)。衣笠社長は「工事に2年半かけます」とリニューアルへの意気込みを語り、本社から根岸孝成社長(63)も現場視察に訪れた。

 現在、バックネット裏には約300人の観戦が可能な小さな観客席がある。だが階段は狭く、席も古びている。「青木資金」は、その改修費用に回されることが有力だ。施設は荒川の河川敷にあるため、条例により大型箱物施設の建築は不可能。限られた条件の中での工事となるが、「青木スタンド」の名前がつけば、付加価値も増す。このほか左翼フェンス後方に防球ネットを造る計画もある。

 首位打者3度、2度のシーズン200安打の実績を引っさげてメジャーに乗り込む青木だが、04年のプロ1年目はほとんど2軍暮らし。戸田での努力が実を結び、翌05年の202安打につなげた。いわばメジャーリーガー・青木の原点と言える場所。「青木スタンド」は、若きツバメたちの飛躍をいつまでも見続けることになる。

 ▽過去のポスティング資金での改修 西武は06年に、レッドソックスが松坂獲得に入札した5111万1111ドル11セント(当時=約60億円)のうち、税金を除いた全額を西武ドーム改修に投入。第1期工事は08年の開幕直前に完了。約13億円を費やし、幅50メートルのスコアボードの全面スクリーン化と人工芝の張り替え、フェンスクッションの導入を行った。第2期工事はフィールドシートやエレベーター、観戦レストランの新設など、総工費は約17億円だった。

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2012年1月21日のニュース