苦悩も逆境も成長の糧…松坂、いつか生きる「財産」に

[ 2011年10月8日 13:00 ]

リハビリ中はマウンテンバイクで気分転換。表情は非常に明るい松坂

 右肘の腱移植手術から復帰を目指すレッドソックスの松坂大輔投手(31)が6日(日本時間7日)、今回の手術で得た「財産」について語った。苦悩と葛藤した術後4カ月間で野球以外にも視野を広げ、人間的にも大きく成長。来季後半とみられるメジャーの復帰マウンドで、必ずスケールアップした姿を見せてくれるはず。最終回はそんな松坂の本音に迫った。

 ――野球中心だった生活から、今は時間ができた。新たな趣味もできた。

 「午前8時から、リハビリを5時間やっても、午後1時には終わる。結構時間が空く。本を読む時間も極力つくってきたが、4時間も5時間も読めない。やれることをやりたいと思うようになった。写真を撮るのが好きだったから、カメラをちゃんと勉強してみようと。デジカメですけどね」

 ――自転車も本格的にやっている。

 「自転車で球場に通おうと買いに行った。そうしたら、楽しいじゃんって。最初はマウンテンバイクを買ったけど、最近は球場に行く時はロードバイクに乗っている。とにかく時間を無駄にしたくなかった。あとは少しでも空く時間があると、余計なことを考えてしまう気がしたから、それを埋めるためというのも、最初はあった」

 ――自転車に乗って変わったこと。

 「ただただ、気持ち良かった。さわやかな汗をかいて、そういう時間も本当にいいなと思った。いろいろとやっていることをツイッターに書くと、周りの反応も“楽しそうだな”となって。みんなを負のイメージに巻き込みたくなかったから、“元気そう”“楽しそう”という反応は凄くよかったと思います。自分の苦しさを与えてしまうのは嫌だったので」

 ――さまざまな苦悩、葛藤を表に出さない。それは家族がいたからできたことでは。

 「家族といる時は全く別の状態でいられた。子供と遊んでいたり、家族と過ごしていると(苦悩を)忘れられた。ただ、僕はリハビリ中、忘れていると思っていたけど、妻(倫世夫人)に言わせるとそうじゃない。たまに考え込んでいる時があったらしい。多分、悪いこと、マイナスなことを考えていた。やはり、家族の存在は大きい」

 ――手術を経験した人たちの助言。桑田真澄氏(元巨人)や、現在もリハビリを続けている大塚晶則(元レンジャーズ)からの助言もあった。

 「純一(田沢)もそうですけど、皆さんが与えてくれた知識や情報は全て僕にとっていい方向に動いた」

 ――この経験は将来、財産にもなるのでは。

 「そうですね。ケガした人の気持ちを知ることができるというか、自分も経験したからアドバイスできる。僕がいつか教える立場になった時に生かせる経験になったと思っています。桑田さん、大塚さんのように、アドバイスができる人間になれたらいい」

 ――苦悩も逆境も全てプラスに変える。

 「手術はしたけど、自分は元気になって戻ってくるという気持ちで常にいる。新しいものをつくっていくことは、それなりの準備を要する。この4カ月は、よく飽きもせずに毎日同じことを繰り返すことができた。僕の性格から考えると、少し妥協していてもおかしくなかったけど。でもこれで終わりじゃない。これだけ待ってくれている人がいるから、その人たちのためにもやらないといけない。ファンの方々は僕がマウンドで投げる姿を待っている。しっかり戻ってきたい」

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2011年10月8日のニュース