「肺炎のオッサン」伝言に発奮!ジャイアン連敗止めた

[ 2011年10月8日 06:00 ]

<ヤ・広>6勝目を挙げた赤川(左から4人目)が笑顔でファンにあいさつ

セ・リーグ ヤクルト1-0広島

(10月7日 神宮)
 さすが、ジャイアン。ヤクルトの赤川克紀投手(21)が7日、広島を相手に8回1/3を3安打無失点。6勝目を挙げた。前日に首位陥落したチームを救ったのは、肺炎で離脱中の宮本慎也内野手(40)が残したメッセージだった。まだ0・5ゲーム差の2位だが、最短優勝マジック点灯は中日と同じ条件で11日。ここまで来たんやから優勝しよう。ベテランがチームに贈った言葉に若き左腕が見事に応えた。
【試合結果】

 勝利の瞬間、赤川はベンチでハイタッチを交わし、頭を何度もなでられた。プロ初完封まであと2アウトでマウンドを譲ったが、8回1/3無失点で自身5連勝。ジャイアン似の21歳左腕が、チームの連敗を3で止めた。

 「連敗していたので何とか止めようと思っていた。完封より、チームが勝てばそれでいい」

 初回は先頭・東出の四球を含め5球連続ボール。しかし、今季登板20試合目で試合中に修正できる力が備わった。直球は130キロ台中盤ながら、ツーシームを両サイドに投げ分けて、丁寧に低めを突いた。

 スコアボードはゼロが並んだ。息詰まる展開で、40歳のベテランが残した言葉が響いた。首位陥落した6日夜。チームが大阪市内の宿舎に戻ると、エレベーター前のホワイトボードに伝言が残されていた。「(前略)勝負の名古屋で爆発しよう。オレも何とか間に合わせます。ここまで来たんやから優勝しよう」。書き手は「肺炎のオッサン」。肺炎で緊急帰京した宮本だ。暗いムードを変えるには十分な「名文」だった。

 7回、この日2本目の安打が適時打となり、待望の先制点が入った。こうなると小川監督が「プレッシャーを感じない」と評する赤川の性格が頼もしい。現在はジャイアン似と言われるが、宮崎商での高校生活は「プーさん」が愛称だった。ディズニー映画「くまのプーさん」の主人公のように、いつも穏やかにハチミツをなめていそうな雰囲気で、マウンドでも堂々と振る舞い、広島打線を散発3安打に抑えた。

 首位・中日が引き分け、0・5ゲーム差に戻した。直接対決は10日からの4連戦(ナゴヤドーム)だが、指揮官は「抜かれた以上はチャンスを持ったまま中日戦を迎えなければ、と考えながらやるのは良くない」と再奪首を誓った。ベテランの場外ファインプレーにも助けられ、優勝という蜜の味をグイっと引き寄せた。

 ≪9月以降の防御率1・38≫ヤクルトがわずか2安打で1―0勝利。チームで2安打以下の勝利は、00年6月23日阪神戦(2安打、1―0)以来、11年ぶりの省エネとなった。先発の赤川は9月7日横浜戦から無傷の5連勝。両リーグで9月以降に5勝は他に吉見(中)だけ。この間の防御率は1・38と安定しており、吉見の1・79を上回っている。これでチームの連敗は3でストップ。赤川は9月25日中日戦でも連敗を4で止めており、今季チームで3連敗以上を2度止めたのは赤川しかいない。

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2011年10月8日のニュース