岩田2季ぶり完封勝利!緊迫投手戦「結構しびれた」

[ 2011年6月15日 06:00 ]

<神・日>9回裏、阪神・関本のサヨナラ打にガッツポーズで喜びを爆発させる岩田

プロ野球 交流戦 阪神1-0日本ハム

(6月14日 甲子園)
 我慢に我慢を重ねた末に、大きな喜びが待っていた。0―0の9回裏。既に125球の力投を続けていた阪神の岩田は「勝つまで投げるつもりだった。点を取ってくれるまで耐えるつもりだった」と延長戦へ向け、一塁側ベンチ前で投球練習をしていた。その目の前でサヨナラ勝ち。そして自身も09年9月9日の中日戦(甲子園)以来、2シーズンぶりの完封勝利。歓喜の輪に絶叫しながら飛び込んだ左腕は「まさか完封できるとは…」と頬を緩ませた。

 圧巻の投球。ポイントは序盤だった。この試合まで7試合に先発し、いずれも先制点を献上。うち5試合は初回に失点していた。「そこをメチャ気にして投げた」と先制点だけは与えないことを強く意識して臨んだ。初回を難なく切り抜け、2回は1死から連打で一、三塁とされたが、鶴岡のスクイズバントを処理して捕手の藤井彰へ冷静にグラブトス。ピンチを切り抜け、波に乗った。

 以降は真弓監督が「攻撃的な投球」とうなれば、敵将の梨田監督も「きょうは岩田を褒めないと。スライダーなんて消えるくらい曲がっていた」と脱帽するほどの内容。ストライクを先行させ、持ち味の動く直球に低めのスライダーがさえわたる。大阪桐蔭の後輩・中田に対しても、「あれはたまたま」と照れたが、2三振を奪うなど4打数無安打と格の違いを見せつけた。自身2年ぶり2度目の2桁奪三振となる11三振を記録。三塁を踏ませたのは2回の1度だけだった。

 2軍時代から見守る遠山育成コーチは、岩田が左肘手術から578日ぶりの勝利を挙げた5月5日巨人戦(東京ドーム)後、直接電話を入れた。「勝ち星がついても、もっと野手にリズムを与える投球を。無駄な四球が多い」。あえて厳しい言葉で突き放した。その上で「今年1年やって何かが見えてくるんじゃないか」と続けた。

 緊迫の投手戦を制し、「結構しびれましたね」と笑顔で振り返った岩田。この男がいる限り、虎は死にはしない。

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2011年6月15日のニュース