松井「頑張って」!被災地に勇気の移籍1号!

[ 2011年3月15日 06:00 ]

<アスレチックス・ロッキーズ>3回1死、特大の右越え本塁打を放つ松井

オープン戦 アスレチックス9-4ロッキーズ 

(3月13日 フェニックス)
 被災地に届け――。アスレチックスの松井秀喜外野手(36)が13日(日本時間14日)、ロッキーズ戦に「5番・DH」で先発出場し、3回にオープン戦1号となる右越えソロを放った。オープン戦出場9試合目、27打席目の待望の移籍初本塁打。自身のバットで東日本大震災の被災者に、精いっぱいの激励とメッセージを送った。
【アスレチックス・オープン戦結果】

 帰路に就く直前だった。松井が、宮城県出身の報道陣の1人を突然呼び寄せた。そして、この日打ったホームランボールにサインすると「つらいだろうけど、頑張ってね」とそっと手渡した。次の瞬間、相手の目から大粒の涙がこぼれ落ちた。

 今もなお震災と闘い続けている人々の励みに、少しでもなれればいい。3回1死、2ボール1ストライクからの4球目。「ほぼ完璧だった」と松井が自賛した当たりは、右翼席看板を越える459フィート(約140メートル)の特大アーチとなった。

 「僕の立場からあまり言うのもどうかと思うんですけど、ただ無事を祈るだけです…。1人でも多くの方が無事でいてほしいと思うだけです」

 東日本大震災から3日。事態の重大さから発言を控えている松井だが、甚大な被害に心を痛めてきた。この日は、石川・星稜の先輩で元中日の小松辰雄氏が激励に訪れた。震災の影響で空のダイヤも乱れ、成田空港で35時間も足止めされ、空港で手渡された毛布や寝袋で雑魚寝したという同氏。「(米国に)来ていいのかと思った」と話す先輩に、松井の胸中も複雑だった。

 過去には07年3月に発生した能登半島地震の災害義援金として、故郷の石川県共同募金会に1000万円を寄付するなど支援に動いてきた松井。1人でも多くの人を勇気づけたいという心はいつも変わらない。

 前日までオープン戦は21打数1安打と苦しんでいたが、この日は2安打2四球で全4打席で出塁。この日の試合は西海岸へ初めてテレビ中継された試合で、1号アーチは地元オークランドのア軍ファンへも最高の贈り物となった。「偶然とはいえ、いい打席をお見せすることができて良かった。シーズンでも同じプレーを見せられればいい」。一生懸命な姿、プレーで松井は、これからも被災地の復興を願い続けていく。

 ▼アスレチックス ボブ・ゲレン監督(松井について)日々調子は上向いている。あと1週間ぐらいでタイミングも合うだろうし、そうなれば準備は万端だ。

 ▼ロッキーズ ストリート(松井に被弾)完全な失投だった。彼はベテラン。ああいうミスをすると痛い目に遭うのは分かっている。

続きを表示

2011年3月15日のニュース