リーグ4連覇へ…原監督「一緒に戦うぞ、拓也」

[ 2010年4月25日 06:00 ]

8回、満塁弾を放った谷(手前)を出迎える原監督

 【巨人7-4広島】あふれる感情を抑えきれなかった。8回に劇的な逆転満塁弾を打った谷を原監督は一塁ベンチ前で思いっきり抱きしめた。

 「谷は拓也と同級生で仲がよくて、試合が終わってから2人でおいしそうにたばこを吸っていた。その谷が決めたのは不思議なところを感じる」と興奮気味に話した。
 今季両リーグ最多の4万6673人が詰めかけた追悼試合は、終盤まで苦しめられた。好投の西村健が7回1死から四球を出すと迷いなく山口にスイッチ。だが東出に同点適時打を浴びると、開幕から11試合連続無失点だった越智も8回に勝ち越し点を与えた。しかし、指揮官は攻めの采配を貫いた。8回に四球で出塁した小笠原に代走・鈴木を起用すると、右前打で続いたラミレスも古城に交代。延長戦を考えると、3、4番を代えるリスクは大きかった。しかし、勝利への執念が劇的な満塁弾を呼んだ。
 今後も木村コーチとともに戦う。午前11時すぎに都内ホテルで催された「お別れの会」には球界関係者550人が出席した。祭壇の前に立った原監督は、「弔辞…」と涙声で切り出すまで15秒ほどかかった。沈黙の長さは悲しみの深さ。そして「東京ドームの君のロッカーにあった“84 T・KIMURA”のネームプレートは今、監督室の私のそばにあります。一緒に戦うぞ、拓也。ありがとう、さようなら、拓也…」。言葉は涙でかすれ、語尾は震えた。「君の精神は私たちの心の中で、間違いなく脈打っています。君はこれからも私たちとともにいます」。熱き魂でチームに貢献した男は天国から見守っているに違いない。
 試合後に一塁ベンチ前に整列し、ナインとともにバックネット裏の客席上部で観戦していた木村コーチの関係者に深々と一礼した。「非常に厳しい試合だった。一人一人が死力を尽くして、プロとしてしっかり戦った」。目指すはリーグ4連覇と2年連続日本一。木村コーチの思いを胸にチーム一丸で戦い続ける。

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2010年4月25日のニュース