日本人最多17勝!松坂、ついに野茂超え

[ 2008年9月17日 06:00 ]

力投し、17勝目を挙げた松坂

 【レッドソックス13―5レイズ】偉大な先駆者の記録を超えた。レッドソックスの松坂大輔投手(28)が15日(日本時間16日)、レイズとの天王山初戦に先発し5回を3安打1失点。打線の大量援護もあり、野茂英雄投手(当時ドジャース)の記録を上回る日本人シーズン最多となる17勝目を挙げた。チームは地区首位レイズに大勝し、ゲーム差なしの勝率2厘差に肉薄。2年連続の地区優勝、そして世界一へ、松坂はさらなる高みを目指す。

【松坂ジャージ
順位表


 松坂は誰よりも先にベンチを飛び出して勝利の儀式へと向かった。大量得点差となり5回で降板したが、岩村の本塁打のみの1失点。仲間の祝福に笑顔がはじけた。
 「(打線に)勝たせてもらった。昨年からここ(トロピカーナ・フィールド)でいい投球をしても勝てなかったり今年もまだだったので、1つ勝てたというのは大きい」
 地区連覇へ最後の首位攻防3連戦。しかも今季チーム6戦全敗の敵地トロピカーナ・フィールドで勢いを呼ぶ快投が必要だった。通常の登板では当日に打者の傾向を頭に入れる程度の右腕が、今季レイズ打線を抑えた投手のビデオを入念に見て準備した。前回9日の同カードで勝利に導けず首位奪回も逃した同じ失敗できない。前回102球中41球投げたスライダーは30球に減り、2球だったチェンジアップを13球に増やした。序盤、スライダーが大きく曲がり制球に苦しむと、中盤から2~3マイル(3~5キロ)球速を落として修正。首位にゲーム差なしの2厘差と迫る快投は“多彩な引き出し”が生んだ。
 日本人シーズン最多の17勝目。中学時代にメジャーを現実的な目標に変えてくれた先輩・野茂を数字で上回った。野茂は直球とフォークという日本時代と変わらぬ投球で勝利を重ねた。一方、松坂は滑る球への対応も含め試行錯誤を重ね、常に“変化”してきた。同じ26歳で海を渡ったが、野茂とは異なるアプローチで手にした未到の領域。「1試合として僕は同じ状態にいない。成長部分もあるし、体調も違う。フォームだって微妙に変化していく」。登板途中に握りなど修正を施せるのも、変化を絶えず意識しているからだ。
 大リーグ挑戦が決まった06年オフに野茂と会食した松坂は手の大きさに驚いたという。「僕と全然違う。これならボールも大丈夫なんだなと思った」。その時点で野茂を“物差し”とする考えはなくなった。「野茂さんは大変な環境の中で自分のペースを崩さずにやってこられた。だから比較したこともない。数字上超えただけで野茂さんの存在を超えたことにはならない」と松坂。その言葉の裏には、自分の信じる道を突き進み、比較されない自分をつくり上げる決意が潜む。
 「地区優勝、リーグ優勝、世界一と全部獲れればいい。プレーオフに出られればいいという考えはない」。記録の余韻に浸ることもない。背番号18は連覇という目標へ立ち止まることもない。

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2008年9月17日のニュース