何度でも言う!やっぱり稲葉だ!!

[ 2008年8月19日 06:00 ]

5回無死、稲葉が右越えに“値千金”の先制ソロアーチを放つ

 【北京五輪・野球 日本1―0カナダ】北京の青空へ白球が吸い込まれていく。まさに値千金。これが星野ジャパンのパワーだ。稲葉のアーチが準決勝進出への懸け橋となった。

 「久しぶりに手応えがあった。あの1球だけですかね、甘く来たのは。成瀬が頑張ってたので何とかしたかった」
 0―0の5回。先頭打者で0―2から高めに来た直球を逃さない。完ぺきな一打は右中間フェンスの外へ消え、果てしなく大きな「1」がスコアボードに入った。「球を全部動かして日本にいないタイプ」と稲葉が振り返るカナダの先発ベッグに大苦戦。4回までに2併殺を喫し、5回の攻撃前に円陣を組んだ。「何を同じ攻め方でやられとんじゃ!」。闘将の怒声が一塁ベンチに響いた直後の一発だった。
 7月17日の最終メンバー発表前、右でん部の痛みを抱え「このままでは迷惑をかけるかも」と漏らした。責任感の強い男ならではの言葉。でも、すべて承知で星野監督が選んでくれた。打たないわけにいかなかった。痛みはまだ残るが「監督の顔を見たら、痛いものも痛くなくなる」。第4戦まで16打数3安打2打点と結果が出ず、ホテルの自室では毎晩素振りを繰り返した。田淵ヘッド兼打撃コーチからは「頭が前に突っ込んでヘッドが出てきてないぞ」とアドバイス。ベッグの映像は初戦(中国戦)だけで、低めに沈むシンカーとスライダーに手こずる中で打てたのは、信頼と指導のおかげだった。
 「初めての投手を打ち崩すのは難しい。でも、うちには稲葉がいます」。そう話した星野監督から共同会見後、そっとたばこを差し出された。勝利の一服。北京で味わう最高の一服だった。

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2008年8月19日のニュース