これがスター不在?大阪桐蔭記録尽くめV

[ 2008年8月19日 06:00 ]

17年ぶり2度目の夏の日本一を決め、歓喜の大阪桐蔭ナイン

 【大阪桐蔭17―0常葉学園菊川】大阪桐蔭が記録的な猛打で17年ぶり2度目の全国優勝を飾った。第90回全国高校野球選手権大会最終日は17日行われ、常葉学園菊川との決勝戦で、大阪桐蔭の萩原圭悟一塁手(3年)が3打点をマークして、大会個人最多となる15打点をマークするなど打線が爆発。夏の甲子園決勝戦史上最多の21安打で決勝史上最多タイの17点を挙げれば、投げては福島由登投手(3年)が5安打完封勝利で17―0で圧勝。全国4059校の頂点に立った。

 勝利の女神もあっけにとられたに違いない。打って打って、打ちまくってつかみ取った17年ぶりの全国制覇。最後の打者の投ゴロでウイニングボールを捕った萩原を中心に大阪桐蔭ナインが喜びを爆発させた。
 「今年はスーパースターがいないので、つないで勝つしかないと言ってきました。きょうはそれができたと思います」
 主砲・萩原はそう言って胸を張る。記録的な猛打は“つなぐ意識”から生まれた。ひじ痛の相手左腕エース・戸狩に、初回から容赦なく襲いかかった。萩原は1死一、二塁から大振りせずにきっちり中前へ。続く奥村の先制満塁弾を呼び込んだ。のべ5投手から決勝史上最多の21安打を放ち17得点。単打は14本だ。萩原自身も7回、史上6人目となる3試合連続アーチで打点を大会新となる15としたが、甘い球をしっかり上から叩いた。
 全6試合で2ケタ安打を記録して、大会史上2位となる通算99安打を放った打線も平田(中日)、中田(日本ハム)らスター選手がいた世代に比べて周囲の評価は低かった。その一方で最も練習をした世代でもあった。例年なら月曜日が休みだがことしは違った。エース福島由は「休みは手で数えられる」と話したほど。昨秋大阪大会準々決勝でPL学園に敗れ、目標を夏に切り替えたナインは連日ミーティングを重ねた。たどり着いた答えが“声と足”そして“つなぐ心”だった。華やかさはないが全力疾走と絶えない声で泥くさい野球を目指し、最高の舞台で最高の結果につなげた。
 大阪勢としての優勝も同校の91年以来とあって西谷監督は「大阪が弱くなったと言われると悔しい。大阪の監督に良い報告ができる」。スターはいなかったかもしれないが、全員がヒーローになってつかんだ頂点。大阪桐蔭が新たな歴史を刻んだ。

 ≪東京を抜いて勝利数もトップに≫大阪桐蔭の17得点は、夏の大会決勝戦としては88年ぶりとなる決勝戦史上最多得点タイ、得点差も最大タイとなった。初回の奥村の満塁本塁打は今大会5本目で通算35本目。決勝戦での満塁弾は昨年の副島(佐賀北)以来3度目。またチーム大会通算99安打は00年・智弁和歌山の100安打に次ぐ史上2位の快記録だった。また、大阪勢はこれで夏通算145勝。並んでいた東京を抜いて全国トップとなった。169勝の春とともに春夏いずれも1位に立った。

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2008年8月19日のニュース