ゴーゴーイチロー“最遅”100安打到達

[ 2008年7月1日 06:00 ]

7回、見事な流し打ちで左前打を放つイチロー

 【マリナーズ9―2パドレス】マリナーズのイチロー外野手(34)が29日(日本時間30日)のパドレス戦で昨年5月15日以来、自身7度目の1試合5安打を記録。シーズンの半分にあたる81試合目で今季100安打に到達した。メジャー8年目で最も遅い到達ながら、何とか折り返し点で年間200安打ペースに乗せた。チームが最下位に低迷する中、打撃へのアプローチで試行錯誤を続けてきた背番号51にとって、爆発のきっかけをつかむ5安打となった。

 イチローの放った輝きに敵地のファンからは自然と拍手が起こった。8回先頭で中前打して代走が送られた瞬間だった。昨年のサイ・ヤング賞右腕ピービから3安打するなど左へ右へはじき返した。昨年5月15日以来の5打数5安打だ。
 「この時点で4安打が1試合もないのは計算にないこと。でも(4安打して)あと1本で100ってとこで、最後は強い気持ちがあった」
 シーズン162試合のちょうど半分、81試合目での100安打到達。最も遅いペースながら、イチローの頭の中では数字はインプットされていた。今季は早々とプレーオフ争いから脱落し、バベシGM、マクラーレン監督が相次いで解任された。自身も中堅から右翼への再コンバートがあった。「チームの結果で自分の結果が左右されるのはプロではない」と語る男でも、プレーに集中するのは困難だったはずだ。前半折り返しで打率3割に満たないのはメジャー8年目で初めてだ。
 だが、その状況下でイチローはさらに進化を目指していた。「頭では打たないと思った時に、体が打ちにいくのを止めようということ。打てると思えば頭の上でも構わないけど、それが(頭で)まずいと思った時にも打つことが結構ある。その回数を減らしたい」。並外れた動体視力と反射神経を持つイチローはワンバウンドのボールを安打したこともある。「目よりも体でボールを見る」ため、自然の反応だった。しかし、今年はさらに先を目指す。「(止めるのは)目というか体」と“体”にボールの取捨選択の判断をさせようというのだ。その試行錯誤の中で、この日の5安打は打つべき球をすべてシンでとらえた。「バッティングというもののとらえ方っていうのを考えさせられる日だった」。取り組んできたことへのヒントを見つけた。
 日米通算3000安打へは残り30本。その先に8年連続200安打、日本歴代1位の張本勲氏の3085安打(残り115本)への挑戦がある。「(前半戦は)結果を見れば、もう“つまらない”のひと言でしょうね」とイチロー。自身の成績に満足感はない。この日つかんだ感覚を次につなげなければ意味がない。それは今季初の同一カード3連勝となったチームも同じだ。

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2008年7月1日のニュース