坂本“ミスター打法”で内角打ち

[ 2008年5月13日 06:00 ]

サマービジターユニホームに袖を通し、笑顔を見せる坂本

 開幕から先発出場を続ける巨人の坂本勇人内野手(19)が“ミスター打法”に挑戦中だ。相手投手の投球と同時にバットを短く握り直すもので、長嶋茂雄終身名誉監督(72)が現役時代に元大洋・平松政次氏のカミソリシュートに対応するために行った伝説の打法。つなぎの役割が求められる2番打者としてプレーの幅を広げようというのが狙いで、日々進歩する19歳の“秘打”が近いうちに見られるかもしれない。

 きっかけは“思いつき”だった。1日の広島戦(東京ドーム)前、フリー打撃のラスト3球で坂本は打撃投手の手から球が離れると同時にストンとバットを落とし、短く握り直した。いずれも打球に力はなかったが、右方向へのゴロ。「まだ試合では無理。でも空振りを防ぐためにこっそり練習したい」と語り、その後も人目のないところで練習を繰り返している。
 同様の打法の使い手は2月の宮崎キャンプで「将来を期待している」と激励された長嶋監督が有名だ。現役時代、通算201勝を挙げた平松氏の内角をえぐるカミソリシュートに対応するため、瞬間的にバットを短く握り直し球に食らいついた。長嶋監督は当時「最初から短く持つと狙ったことがばれるから」と編み出したが、その逸話を知らない坂本は“ミスターの遺伝子”を自然に受け継いでいる証拠だ。
 開幕から先発出場を続けている坂本だが、4月終了時は・284だった打率も・250まで下降。3日のヤクルト戦(神宮)からは打順が1番から2番に替わった。当然、右方向への進塁打など求められる役割は異なる。そこで考えたのがボールに当てる確実性がより高まる“ミスター打法”だ。篠塚打撃コーチも「元々、内角球をさばくのはうまいが、バットを短く持てばシュート系にも対応できる。よく考えて練習しているね」と19歳を評価した。
 交流戦開幕後の28、29日の楽天戦(東京ドーム)では実家の兵庫で小、中学校の同級生だった田中とのプロ初対決が実現する可能性もある。「高校時代の練習試合では手も足もでなかった。いい結果を出したいです」。悩んでも下は向かないと決めている。坂本には“マー君”にも負けないスター性と向上心がある。

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2008年5月13日のニュース