黒田 結果よりも“全力投球”優先

[ 2008年3月10日 06:00 ]

<カージナルス・ドジャース>2回無死、ケネディの二安が悪送球を誘う。黒田がベースカバーするも及ばず

 【ドジャース20―6カージナルス】ドジャースの黒田博樹投手(33)が8日(日本時間9日)、米フロリダ州ジュピターでのカージナルス戦に先発し、2回を5安打3失点(自責2)。現時点の100%の力で腕を振った結果、(1)メジャー球への対応(2)初球の入り方――の課題が浮き彫りとなった。登板後には主砲アンドルー・ジョーンズ外野手(30)にアドバイスを求めるなど、幸運にも転がり込んだ“メジャー初勝利”以上に実りある登板となった。

 3戦目でメジャー初失点にも黒田の表情は明るかった。「シュートがよく動いた。右打者にはファウルでカウントを稼ぎ、左打者には空振りがとれた」。結果よりも、この日は「打たれてもいいから思い切り腕を振ること」がテーマだった。
 3安打で2点を失った初回。1死一、二塁からラドウィックを直球、モリーナをスライダーで連続三振に切った。シュートを効果的に配し、他の球種の威力を高める。2回にも1点を失ったが「投げていてそんなに打たれたという感じはない」との感想。正捕手のマーティンも「すべての球種をうまくミックスできた」と手応えを口にした。
 全力の投球を行うことで、見えてくる課題もある。1つはメジャー球への対応だ。「浮くというより引っかかり過ぎる」と話していたスライダーは初回、制球がつかなかった。また、乾燥した空気と強風の影響でボールが滑り、2度ほど口元に指先が動いた。不正投球には取られなかったが、メジャー球の扱いに苦労することを体感した。
 3回まで投げる予定が2回までに45球を費やして降板。打者12人中、7人に対して初球がボールだった。黒田は降板後にロッカールームで主砲ジョーンズを見つけると、通訳を介して質問をぶつけた。「“初球を積極的に打ちにいくケースはどういう時か”と聞かれた」(ジョーンズ)。05年の本塁打、打点の2冠王から打者心理を説いてもらった。球数を減らすには、初球ストライクが大切と痛感したからだ。
 「多少(体の)開きが早いのと球離れが早いのがある。投げながら修正していく」。まだ開幕まで20日以上ある。ローテーションが確約されている黒田にとってオープン戦はメジャーの環境に順応する過程にすぎない。

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2008年3月10日のニュース