サントリー 史上最大のV字回復V!15戦全勝で4季ぶり4度目

[ 2017年1月15日 05:30 ]

トップリーグ最終節   サントリー27―15神戸製鋼 ( 2017年1月14日    ノエスタ )

優勝したサントリーフィフティーン
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 最終第15節の8試合が行われ、サントリーが神戸製鋼を27―15で下し、15戦全勝で4季ぶり4度目のリーグ優勝を果たした。沢木敬介新監督(41)、2年目のSH流大(ながれ・ゆたか)主将(24)のリーダーシップの下、10年から11年度に指揮を執ったエディー・ジョーンズ監督(現イングランド代表ヘッドコーチ)時代のスタイルを一新。昨季9位から史上最大のV字回復優勝を果たした。サントリーは21日に開幕する日本選手権で、4季ぶりの2冠を目指す。

 もたついた試合中、言葉を荒らげ、机を叩いて怒りまくった沢木監督は、優勝の瞬間も仏頂面だった。スタンドからピッチへ下り、関係者や選手に握手を求めたところで、ようやく笑みがこぼれる。「うれしくないわけではない。喜んでいるつもりですよ」と弁解しつつ、掲げる理想は高い。早くも「ターゲットは日本選手権に向いているので、しっかり準備したい」と語るあたりは、名将エディー・ジョーンズ氏と重なった。

 先発15人中、4季前の優勝を知るのは8人。若返ったチームは緊張で序盤からミスを重ねた。相手の速い出足のディフェンスに手を焼き、思い通りの攻撃ができない。それでも8点を追う前半22分、強力な武器となったスクラムを起点にツイが反撃のトライ。前半終了間際には大きくボールを動かし、最後はWTB江見が逆転トライを奪った。後半も1トライ1G2PGで突き放し、苦しくても勝ちきる強さを見せた。

 沢木監督は12年度を最後にチームを離れると、U20日本代表監督を経て15年W杯では日本代表コーチングコーディネーターとしてジャパンの躍進を支えた。W杯後、チームにスタッフとして復帰すると3年前と変わらぬプレースタイルにがくぜんとした。「ラグビーは常に進化しているのに、ひたすらボールキープするだけ」。今季を見据えて課題を洗い出し、監督就任とともに大改革に着手した。

 まずは「向上心が誰よりも高い」という2年目の流を主将に抜てき。ジョーンズ元監督が築いたボール保持重視のアタッキングラグビーを捨て、キックも交えてスペースへ仕掛ける戦術に変更した。各局面で個々の判断力が重要となるため、春は選手全員で海外の国際試合を分析させ、プレーの引き出しを増やした。迎えた昨年8月26日の開幕戦は近鉄に14―13の辛勝。それでも築き上げた土台を信じ、「チーム全員が同じベクトルを向いて」一戦一戦チャレンジャー精神で勝ち抜いてきた。

 「いい人になろうと思わない。いいコーチになろうと思う」。名将の薫陶を受け、信念を貫いた指揮官の周りには、自然と歓喜の輪が広がっていた。

 ≪過去3位が最大≫サントリーは昨季9位からのV字回復優勝となった。過去には08年度の東芝、13年度のパナソニックが前季の3位(ただしプレーオフトーナメント準決勝敗退=4強)から優勝したのが最大の巻き返し。サントリーは前季9位からの優勝で、これまでの記録を大幅に更新した。

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2017年1月15日のニュース