伊藤“77度目の正直”初V!平昌で高梨とワンツー狙える!

[ 2017年1月15日 05:30 ]

ノルディックスキーW杯ジャンプ女子第7戦札幌大会 ( 2017年1月14日    北海道札幌市・宮の森ジャンプ競技場=HS100メートル、K点90メートル )

優勝しガッツポーズをする伊藤有希
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 有希と沙羅、平昌(ピョンチャン)五輪の2枚看板だ。22歳の伊藤有希(土屋ホーム)が2回ともトップの95メートル、96メートルを飛び、254・3点でW杯初優勝を地元・北海道で飾った。今季W杯5勝の高梨沙羅(20=クラレ)は93メートル、92メートルの合計242・1点の2位に終わり、W杯通算50勝はお預けとなった。勢藤(せとう)優花(北海道メディカルスポーツ専門学校)は12位、岩渕香里(北野建設)は19位、岩佐明香(日大)は29位だった。

 この瞬間を、この眺めを待っていた。2回目。最後に飛んだ伊藤は最長不倒の96メートル。女王・高梨を破って、W杯77試合目で文句なしの初優勝。伊藤はスキー板を何度も掲げ、地元・下川町の応援団の声援に応えた。その目に涙はない。笑顔があふれた。これまでW杯の表彰台に10度(2位6度、3位4度)立ったが、表彰台の中央には常に高梨がいた。その“定位置”を奪い一番高いところに立った伊藤の目には初めての光景が広がった。

 「優勝して少しは恩返しができた。(高梨は)50勝を目指し、どんな状況でも勝てる選手。勝つのは簡単じゃなかった。国内大会ではなく、世界のW杯で勝てて良かった」と笑みがこぼれた。現在、伊藤はW杯総合で高梨に次ぐ2位。常に比較されてきたが、明るい性格の伊藤は「自分は(比較して)足りないものしかない。勝っているもの?食欲だけです。ハハハ」と冗談を交えて笑い飛ばし、真面目に競技に取り組んできた。好飛躍が2回そろわないことが課題だったが、昨年5月に行われた土屋ホームの宮古島合宿では1人居残りでトレーニング。「シーズン中に筋力が落ちないようキープしている。それが安定感につながっている」。下半身の強化が結果につながった。

 1回目は95メートルでトップ。2回目は高梨のジャンプを見てから、最後に飛ぶというプレッシャーのかかる状況だった。それでも「いい緊張感で飛べた。どんなジャンプができるか楽しみだった。自分ができることに集中できた」と振り返った。

 土屋ホームに入社し4年目。14年ソチ五輪銀メダリストで同郷・下川町の大先輩、葛西紀明兼任監督(44)の後を追った。伊藤はあえて男子選手のみのチームに飛び込み自分を試したかったという。昨年12月26日には葛西から1日遅れのクリスマスプレゼントとなるヘルメットをもらった。今回はそのヘルメットをかぶっての勝利だった。15年には世界選手権で銀メダルを獲得しているが、「世界一は今日が初めて。今日の方がうれしい。でもまだ1勝」とさらなる高みを見据える。

 表彰台の様子を見守った斉藤智治ジャンプ部長(60)はこう言った。「日本チームに与える影響は大きい。2枚看板で(18年)平昌はワンツーとなればいい」。2人そろって出場したソチ五輪は伊藤が7位、高梨は4位に終わった。1年後の大舞台。今度は金、銀独占だって夢じゃない。

 ▼葛西紀明 どこかで優勝すると思っていましたが、まさか地元で勝つとは!!有希おめでとう!!(土屋ホーム監督)

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