引退のダンカン、静かで地味な引き際 別れ惜しむチームメート

[ 2016年7月12日 15:06 ]

現役引退を発表したスパーズのティム・ダンカン(右)

 NBAスパーズのフォワード兼センターとして19シーズンにわたってプレーしてきたティム・ダンカン(40)が11日に現役引退を発表。ファイナル制覇5回(うちMVP3回)、シーズンMVP2回、球宴出場15回という輝かしい経歴を残してコートを去った。

 米領バージン諸島出身のダンカンはウェイクフォレスト大から97年のドラフト全体トップで指名されてNBA入り。デビューから引退するまでグレグ・ポポビッチ監督(67)の下で活躍し、レギュラーシーズンでは通算1392試合に出場して平均19・0得点、10・8リバウンドという成績だった。

 大学時代の年間最優秀選手、NBAの新人王、球宴とファイナルのMVPを総なめにしたのはラリー・バード(元セルティクス)、マイケル・ジョーダン(元ブルズほか)とダンカンの3人だけ。今季はレイカーズのコービー・ブライアント(37)が引退したが、同じ年に2人のビッグスターがユニフォームを脱ぐことになった。

 派手なことが苦手。ブライアントはシーズン途中に今季限りの引退を発表し、最後の試合では60得点を挙げて華々しく散っていったが、ダンカンはこれだけの実績を挙げながら引退会見もなく、引き際は実に静かで地味だった。

 距離15フィート(約4・6メートル)からバックボードにボールを当ててのバンクシュートは最大の武器。基本に忠実で「ザ・ビッグ・ファンダメンタル(基本)」と称されたプレースタイルはデビューから引退までずっと変わらなかった。

 最後の試合となったのは5月12日の西地区準決勝、対サンダーの第6戦。今季平均得点が自己ワースト(8・6)だったダンカンは敗れたとは言え、19得点を挙げて気を吐いた。

 長年にわたって苦楽をともにしたマヌー・ジノビリ(38)は「この日が来るのはわかっていたけれど、それでもまだ動揺している。彼と14年間も一緒にプレーできたのは私にとって最高の名誉だ」とツイート。フォワードのラマーカス・オルドリッジ(30)は「歴代最高のパワーフォワード。偉大なプレーヤーでありチームメートだった」と大黒柱との別れを惜しんだ。

 2メートル11、113キロ。大型化が進む最近のNBAでは決してサイズで圧倒できるプレーヤーではないが、チームメートからの信頼感は厚く、最後まで自分のプレースタイルを貫いたスター選手だった。

 <数字で見るダンカンの足跡>

 ▼1=97年ドラフトの指名順位。全体2番目はユタ大のフォワード、キース・バンホーンだった。
 ▼2=シーズンMVPの受賞回数。01~02、02~03年シーズンに受賞。
 ▼3=ファイナルMVPの受賞回数。99、03、05年に受賞。
 ▼5=ファイナル優勝回数。99、03、05、07、14年にリーグ制覇。
 ▼8=トリプルダブルの達成回数。レギュラーシズンで4回、プレーオフで4回。
 ▼10=チームのガイドブックで紹介されているページ数。
 ▼15=球宴出場回数。
 ▼19=現役通算のシーズン数。
 ▼21=デビューから引退までこだわった背番号。
 ▼23=週間MVPの受賞回数。
 ▼27=10年1月27日のホークス戦で記録した自己最多リバウンド。
 ▼50=17年連続でクリアしたシーズン勝利数。
 ▼53=01年12月26日のマーベリクス戦で記録した自己最多得点。
 ▼140=デビューから引退まで一緒だったチームメートの総数。
 ▼251=プレーオフ出場試合数。NBA18球団のプレーオフ試合数はまだダンカン1人の数字に達していない。
 ▼701=パーカー、ジノビリのビッグ3と戦った試合数。レギュラーシーズン575、プレーオフ126。
 ▼835=レギュラーシーズンで記録したダンクシュートの数。
 ▼1001=レギュラーシーズンの勝利数(歴代3位)。1人の指揮官(ポポビッチ監督)の下での勝利数としては史上最多。
 ▼1005=ダブルダブルの達成回数。レギュラーシーズン841、プレーオフ164。
 ▼1392=レギュラーシーズン出場試合数。
 ▼3020=通算ブロックショット本数(歴代5位)。
 ▼4225=通算アシスト数(チーム歴代3位)。
 ▼9370=歴代最多となっているプレーオフ通算出場時間(分)。
 ▼1万5091=通算リバウンド本数(歴代6位)。
 ▼2万6496=通算得点(歴代14位)。
 ▼4万7368=歴代10位のレギュラーシーズン通算出場時間(分)。
 ▼1440万3425=レギュラーシーズンのホームゲームにおける合計観客数。
 ▼2億4000万=スパーズが支払った年俸総額(ドル)。現行レートで約247億2000万円。

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