鶴竜 初顔の御嶽海下し5場所ぶり賜杯へ連勝発進

[ 2016年7月12日 05:30 ]

御嶽海(左)を寄り切りで下す鶴竜

大相撲名古屋場所 2日目

(7月11日 愛知県体育館)
 横綱・鶴竜が初顔の幕内・御嶽海を冷静に寄り切って連勝発進を飾った。昨年まで宿舎にしていた寺院の本堂が今年3月に火事で全焼。寺院関係者を勇気づけるためにも名古屋の地で昨年秋場所以来3度目の賜杯を虎視眈々(たんたん)と狙っている。白鵬、日馬富士の2横綱に加え、綱獲りの大関・稀勢の里も新関脇の魁聖を危なげなく寄り切って2連勝とした。

 連勝発進を狙う鶴竜は「フワッと立ってしまった」と御嶽海にやや押し込まれた。いつもであれば格下相手でも劣勢になると引きやはたきといった悪癖が出るが、冷静に右上手を握り、巧みに回り込んで頭をつけて盤石の寄り切り。稽古場を含めても初めて胸を合わせる新鋭を難なく退け「まだ2日。一つ一つ集中してやっていきたい」と分厚い唇を引き締めた。

 所属する井筒部屋の名古屋場所宿舎が今年から変わった。昨年までは愛知県東浦町の寺院・乾坤院(けんこんいん)に構えていたが、今年3月4日に本堂や座禅堂などが全焼。徳川家康ゆかりの由緒ある寺院だけに、鶴竜にとっても衝撃は大きかった。「春場所で大阪に入って全国ニュースで流れていて知りました」と自らが汗を流して成長した場所が燃えている映像が映し出され、胸を痛めた。それでも関係者の尽力により、急きょ同じ東浦町内のビルを宿舎として手配してもらい、土俵も臨時で建設。既に乾坤院は再建に向けて動きだしており、名古屋場所優勝という朗報を届けたい思いでいっぱいの横綱も「建て直しができたら宿舎も戻ると思います」と寺院関係者を勇気づける言葉を口にした。

 この日の朝稽古後には録画したサッカー欧州選手権決勝を堪能するなど精神的にもメリハリが取れている。角界一サッカー通の30歳は「(優勝したポルトガルの)ロナウドは自分と同い年(85年生まれ)で頑張っている。FIFAバロンドール(世界最優秀選手)は間違いない。俺も頑張らなきゃ」と刺激を受けた。名古屋場所は入門以来14年間で負け越しは1度だけで勝率も年6場所で最も高い。足りないものは一つだけ。横綱相撲を取り続けて千秋楽に白鵬を倒し、賜杯を抱くことだ。 

 ≪鶴竜の昨年の名古屋場所≫ この年の春、夏と2場所連続で休場。不安視されたが初日から8連勝のストレート給金。後半は千秋楽で白鵬に敗れるなど3敗したものの、12勝3敗の好成績を収めた

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