錦織「当たり前」8強!フェレールに完勝「成長している証拠」

[ 2015年1月27日 05:30 ]

強烈なサーブを放つ錦織

全豪オープンテニス第8日 

(1月26日 オーストラリア・メルボルンパーク)
 男子シングルスで第5シードの錦織圭(25=日清食品)は4回戦で第9シードのダビド・フェレール(32=スペイン)に6―3、6―3、6―3で勝ち、3年ぶりのベスト8進出を果たした。ストロークがさえ渡り、粘り強さが身上の相手に10度目の対戦で初めてストレート勝ちした。28日に予定される準々決勝では、全豪の日本男子で1932年の佐藤次郎以来、83年ぶりの4強入りを懸けて昨年王者で第4シードのスタニスラス・ワウリンカ(29=スイス)と対戦する。

 クロスに飛んできたボールをバックハンドでストレートに切り返した。技術と思い切りが要求されるショットは、サイドラインをなぞるようにして完璧に決まった。第1セットの第1ゲーム。それがこの日の錦織の最初のポイントだった。

 「1セット目の序盤から打っていて気持ちよさを感じていた。どんどんいいプレーが出て、思い切りもよくなった」。3回戦までは立ち上がりに硬さが目立ったが、この日は見違えるほど躍動的だった。

 ランキングでは下にいるとはいえ、フェレールは経験でも実績でも錦織より上。「彼に対して失うものは何もない。プレッシャーが少し抜けた」と相手のレベルが上がったことで肩の力を抜くことができた。しかも、相手は単発の攻めよりラリー戦に持ち込むタイプ。錦織のストロークの良さが自然と引き出された。

 ただし、不安がなかったわけではない。「体を壊されるまで戦うので、彼とやる前は恐怖もある」。過去6度の勝利はいずれもフルセットマッチ。驚異的な走力としぶとさを打ち破るには1ポイントに費やす労力も大きい。昨年もソニー・オープン、マドリード・オープンで約3時間の激闘を戦い、その後の試合で錦織は棄権している。

 “フェレール=壊し屋”の呪縛。だが、そのフェレールを壊してしまうほど、錦織のストロークは鋭かった。フェレールは左右に振り回されるどころか、諦めたようにボールを見送るばかり。決定打は相手の3倍以上の43本を数え、2時間7分の快勝で不屈のファイターの心までへし折った。

 「こうして勝てたのは初めてでビックリしている。攻撃力が増してきた分、ラリーを早く終わらせたり、彼のしつこさを封じられるテニスになってきた」。18歳で16強入りした08年全米オープンで初対戦し、今ではツアーで最も対戦経験の多い相手。当時から変わらぬトップ10の実力者は、自らの成長を測る絶好の物差しでもある。その相手を圧倒し、錦織は確信を得た口ぶりだった。

 「3年前にベスト8に入った時とはランキングも実力も違う。当たり前のように感じられているのは成長している証拠だと思う」。全豪では3年ぶり、4大大会では昨年の全米オープンに続いて2大会連続の8強入り。この試合でのプレーと取り戻した自信は単なる1勝以上の価値がある。

 ▽錦織の12年全豪オープン8強VTR 世界26位で第24シードの錦織は順当に勝ち上がって、4回戦で第6シードのツォンガ(フランス)と激突。フルセットで競り勝って4大大会自身初、日本男子では95年ウィンブルドンの松岡修造以来17年ぶりの8強入り。「苦しい試合だった。ベスト8に入れてうれしい」と喜んだ。準々決勝では第4シードのA・マリー(英国)にストレート負けで「正直勝てる気がしなかった」と語った。

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