白鵬“禁じ手”審判批判 33度目V台無し…横審も反論「未熟」

[ 2015年1月27日 05:30 ]

一夜明け会見に臨む白鵬

 大相撲の初場所で大鵬を抜き、単独史上最多の33度目の優勝を全勝で達成した横綱・白鵬(29)が千秋楽から一夜明けた26日、東京都墨田区の宮城野部屋で記者会見し、相撲協会の審判部を痛烈に批判した。13日目に同体取り直しとなった大関・稀勢の里戦の最初の一番について自らの勝利を主張するとともに「子供が見ても分かる相撲」などと勝負の判断にまで言及。この横綱の発言に対し協会幹部や横綱審議委員会(横審)は問題視した。

 偉業に自ら水を差すような衝撃的な発言が飛び出した。白鵬は大記録を打ち立てた前夜から明け方まで祝宴に出席。当初、一夜明け会見は午前10時半から始まるはずだったが、寝坊して1時間以上遅れて登場した。明らかにアルコールが残った状態で会見が始まると「疲れました。一夜明け会見ってやめた方がいいね」と言い、その後に問題発言は飛び出した。

 「大記録を全勝で決めた気分は?」と問われると「でも、疑惑の相撲が1つあるんですよ。13日目ですね」と自ら切り出した。それは、優勝を決めた稀勢の里戦で物言いがついて取り直しとなった一番。寄って出た土俵際で稀勢の里の小手投げにぐらついた。軍配は自らに上がったが、物言いがついて同体と見なされた。この判定に不満を持っているらしく「勝ってる相撲」と自らの勝利を主張すると「帰ってビデオ見たけど。子供が見ても分かるような相撲。もう少し、緊張感を持ってやってもらいたいね」と審判部を批判。さらに「本当、肌の色は関係ないんだよね。同じこの土俵に上がってマゲを結っていることになれば、日本の魂。みんな同じ人間」とまくし立てた。

 現役横綱による公の場での異例の協会批判に対し、北の湖理事長(元横綱)は「審判部は5人で見ているし(判定は)簡単なものじゃない。もっと横綱らしく見本になってほしい」と厳しい見解を述べ、29日の師匠会で白鵬の師匠・宮城野親方(元幕内・竹葉山)に注意を通告する方針を示した。この日午後に会合があった横審の内山斉委員長(読売新聞グループ本社顧問)も「審判はスポーツの世界では厳正なもの。未熟さをさらけ出している。反省すべきは横綱本人。自覚を十分促したい」と批判した。

 この勝負のビデオ担当を務めた錣山審判委員(元関脇・寺尾)によると、相手の体が落ちる前に横綱の右足の甲が土俵についており、別の担当親方から横綱の負けとの意見も出たという。勝負規定第6条に「足の裏以外の体の一部が早く砂についた者を負けとする」とある。錣山委員は「相撲の流れとルールを総合すれば、取り直しが極めて妥当だ」と反論した。

 前日の祝福ムードから一転、突如にして“品格問題”に発展。前日の優勝インタビューで「大鵬親方に記録では超えたかもしれないけど、精神的にはまだまだ」と言っていた横綱だが、早速、肝に銘じないといけない事態となってしまった。

 ▽初場所13日目の白鵬―稀勢の里VTR 白鵬が右張り差しから左四つで右をおっつけ一気に寄ったが、稀勢が右小手投げを打って同体。取り直しで白鵬は立ち合いに左へ動き当たりを避けてから押し込んだ。稀勢は左おっつけでわずかに横綱を崩して勝機を生むが、右張り手を放って攻め遅れる。逆襲の白鵬が力強いもろはずで押し倒した。

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