20年東京五輪招致 「完璧」プレゼンに“疑問なし”

[ 2013年7月4日 06:00 ]

プレゼンテーション会場に入り、記念撮影に応じる(左から)麻生副総理、猪瀬直樹・東京都知事、滝川クリステル、太田雄貴選手

 20年夏季五輪開催を目指す東京は3日、スイス・ローザンヌで投票権を持つ国際オリンピック委員会(IOC)委員に開催計画を説明するプレゼンテーションを行った。麻生太郎副総理(72)や東京都の猪瀬直樹知事(66)が「安心、安全で確実な五輪」をアピール。45分間のプレゼン後には質疑応答が設定されていたが、5つしか質問がなく予定より約20分も早く終了した。IOC委員のハートをつかんだ東京が、開催地決定のIOC総会(9月7日、ブエノスアイレス)へ突っ走る。

 最大のヤマ場を軽やかに乗り越えた。招致争いで極めて重要とされる開催計画のプレゼンテーション。45分間にわたって東京開催をアピールした後の質疑応答では、5つしか質問が出なかった。予定より約20分も早く終了。100人のIOC委員のうち86人が出席していたが、質問の少なさは東京の開催計画の質の高さの証明だ。猪瀬知事も「完璧なプレゼン。シリアスな質問もなく、あまり疑問がなかったと受け止めている」と確かな手応えを口にした。

 質疑応答に備えて、入念な準備を重ねてきた。リオデジャネイロに敗れた前回の16年五輪招致では「IOC委員から英語やフランス語で矢継ぎ早に25、26個の質問が出て対応に苦慮した」と関係者は話す。4年前の経験を踏まえ、今回は100通りの想定問答を用意。進行役には国際労働機関(ILO)で勤務経験があり、数カ国語を操る荒井由希子国際部ディレクターを起用して万全の態勢を整えていた。

 プレゼンでは、麻生副総理が「招致に向けて政府の全面的な支援、特に財政面での支援を約束する」などとスピーチ。猪瀬知事らはこれまでにも強調してきた、コンパクトな会場配置や強固な財政基盤による「安心、安全で確実な五輪」をあらためてアピールした。出席者によると東日本大震災についての質問はなかったが、質疑応答で麻生副総理と猪瀬知事が被災地で人々が一致団結して復興に取り組み、選手も協力したことを説明。IOCのアハマド委員(クウェート)は「すべてにおいて良かった。東京は強い」と評価した。

 今回はIOC委員へ直接アピールできる事実上の「天王山」だったが、十分な戦果を勝ち取ることができた。3都市による次回のプレゼンは、開催都市を決める9月7日のIOC総会(ブエノスアイレス)の投票直前になる。猪瀬知事はマラソンに例えて「30キロは越えた。でも、これからが大変」とし、「ゴールまで油断せず、戦闘的でありながら謙虚な姿勢でいきたい」と気合を入れ直した。64年以来となる夢舞台の開催へ。TOKYOが歓喜のゴールに突き進む。

 ▼太田雄貴 凄く重要な役回りで緊張もしたけど、チームワークが素晴らしかった。ロンドン五輪後のパレードで祝福を受けた一人として、東京の情熱的な部分を感じてもらえたと思う。

 ▼東京五輪招致委員会水野正人専務理事 東京チームはかつてないほど情熱にあふれている。過去の失敗から多くを学び、改善を重ねてきた成果だ。

 ▽開催都市の決定方法 9月7日のIOC総会で、約100人の委員が無記名で投票。ロゲ会長と候補都市の国の委員は参加しない。1回目で過半数を得る都市が出ない場合は、最少得票の都市を除外して2回目を行う。この際、落選した国の委員は投票に加われる。4都市が争った16年五輪招致で東京は2回目で落選し、決選投票でリオデジャネイロがマドリードを破った。

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2013年7月4日のニュース