稀勢、綱獲りに暗雲!?不調の日馬相手に“ボロボロ”

[ 2013年7月4日 06:00 ]

日馬富士(左)に寄り切られる稀勢の里

 大相撲名古屋場所(7日初日、愛知県体育館)で綱獲りに挑む大関・稀勢の里(27=鳴戸部屋)に暗雲が立ちこめた。27歳の誕生日を迎えた3日、愛知県長久手市の鳴戸部屋で、出稽古に来た横綱・日馬富士(29=伊勢ケ浜部屋)と三番稽古(同じ相手と続けて稽古を行うこと)を行った。横綱相手に勢いを示したかったが、疲労感たっぷりの大関は動きに精彩を欠いて大きく負け越し、右足を痛そうにするそぶりを見せるなど不安を露呈した。

【名古屋場所星取表】

 調子の上がらない日馬富士にズタズタにされた稀勢の里は、イライラと不満を爆発させた。最後の一番が終わった直後、右足をやや引きずりながら歩き「あー!」と絶叫、悔しさをあらわにした。場所前恒例となった日馬富士の鳴戸部屋詣。稀勢の里は横綱の素早い動きに対応できずに寄り切られるなどいきなり5連敗を喫した。その後、一気に土俵外に持っていく相撲も見られたものの、終わってみれば3勝10敗。「なかなか力が出し切れない。相手に申し訳ない」とうなだれた。

 大関陣を問題にしなかった夏場所前の出足は完全に影を潜めた。人生最大の勝負の場所が4日後に迫る稀勢の里にとって万全の状態とは言えない状況。ましてや、前日の春日野部屋の出稽古で栃煌山相手に6勝5敗と不調だった日馬富士相手でも精彩を欠いた。師匠の鳴戸親方(元幕内・隆の鶴)は「調子が悪い時といい時はある。大丈夫」と負傷については否定したが、いつもは寛大な大相撲解説者の北の富士勝昭さん(元横綱)の評価も珍しく辛口。「お疲れでしょう。踏み込めてないよな。残り4日疲れを取った方がいい。腰が重いんじゃないかな」と心配するほどだ。

 13勝しながら初優勝を逃した夏場所後は、通常の力士が1週間休養を取るところを5日間しか休まなかった。6月24日の番付発表後も既に4日間の出稽古で計205番をこなすなど、疲労が蓄積していることは確か。この日27歳の誕生日を迎えた大関は「稽古場と本場所は違う」と言い聞かせ「全部勝てばおのずと全てが手に入る」と強がってみせた。

 27歳については「一般社会ではまだまだだけど、相撲界ではもういい年。刻一刻と終わりは迫っている」と焦りも感じている。報道陣から「27歳は、つ(2)な(7)とも読める」と問われると「食べ物(のツナ)にならないように…」とジョークで返したのがせめてもの救いだった。

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2013年7月4日のニュース