全柔連ドロ沼 わいせつ福田理事が引責辞任へ

[ 2013年5月25日 06:00 ]

助成金問題や現職理事のわいせつ行為について、記者の質問に答える全柔連の上村春樹会長

 女性へのわいせつ行為をしたことを告発された全日本柔道連盟(全柔連)の福田二朗理事(76)が24日、事実関係を認め、辞職する考えを明らかにした。同理事は東京都連盟会長の職も辞任する。問題を受けて同日発足した特別調査チームは、来週中に同理事と女性を聴取し、6月11日の理事会に諮る処分案を作る考え。暴力的指導問題や助成金不正受給疑惑を含め今年に入り理事の引責辞任は3人目で、再び連盟の“腐敗”がクローズアップされそうだ。

 全柔連に再び激震が走った。前日、92年バルセロナ五輪女子52キロ級銀メダリストの溝口紀子氏にわいせつ行為を指摘された福田理事は、事実関係を認めた上で「申し訳ないし、辞めないと女性も納得しないだろう」と話し、週明けにも職を辞する意向を示した。同理事は11年12月、都内で柔道関係者の女性に抱きついたり、キスを迫ったりしたとされる。酒酔い状態だったと振り返った同理事は「おおむねそうだと思う」と話した。

 この問題について全柔連は小野沢弘史専務理事をリーダーとし、弁護士を含めた5人のメンバーによる特別調査チームを発足。第1回会合を東京都文京区の全柔連事務局で開き週明けにも両者から聞き取り調査を行うことなどを決めた。メンバーの宇野博昌広報委員長は「福田理事の辞意は確認していない」としながら、辞表が提出された場合でも一時預かりとし、理事会で処分を決めることを明らかにした。

 女子15選手による暴力的指導の告発を受け吉村和郎氏、日本スポーツ振興センター(JSC)の助成金の不正受給疑惑で田中裕之氏、福田理事を含めると、26人のうち3人が今年に入り引責辞任する異常事態だ。報道陣に対応した全柔連の上村春樹会長は「(わいせつ問題の)事案については来週中にもはっきりすると思う」とし「お辞めになるなら非常に残念なこと」と話すにとどめた。一連の不祥事を受け、同会長が「近日中に進退を明らかにする」としたのは先月26日のこと。1カ月近くも答えを先延ばしにしてきた間に、柔道界は再び“汚点”をあらわにした。

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