佳菜子、銅だ!「凄い成長」世界選手権へ前進!

[ 2010年12月12日 06:00 ]

GPファイナルで3位になり、メダルを胸に観客席に手を振る村上

 フィギュアスケートGPファイナルは11日、中国・北京の首都体育館で行われ、女子の期待の新星、村上佳菜子(16=中京大中京高)が合計178・59点の自己ベストをマークし、初出場で日本勢トップの3位に入った。今季シニアに転向した昨季の世界ジュニア女王は、1位に2・16点差、2位にはわずか0・01点差と健闘し、来年3月の世界選手権代表入りに大きく前進した。男子はSP首位の織田信成(23=関大)が合計242・81点で2位に終わり、日本男子初優勝はならなかった。

 スマイル全開で、大歓声のシャワーを受け止めた。フィニッシュを決める前から、村上にはもう笑みが広がっていた。フリーの117・12点、合計178・59点はともに自己ベスト。得点が表示されると、目を丸くして山田コーチに抱きついた。わずか2・16点差で05年の浅田、06年のキム・ヨナに並ぶシニア転向シーズンのファイナル制覇を逃したが、悔しさよりも満足感の方が上回った。
 「表彰台に上がれたことがうれしい。ビックリしている。点数がベストで凄くうれしかった」
 リズミカルに舞ったSPから一転、フリーでは「マスク・オブ・ゾロ」を勇壮に演じた。冒頭の3―3回転を決めたが、スケートアメリカと同じく3回転フリップが1回転に。「失敗したことを後悔している」と顔をしかめたものの、続く単発の3回転フリップを2回転トーループとの連続ジャンプに変更し、得点を稼いだ。シニア転向シーズンには得点が出にくい5項目の演技点でも、要素のつなぎ以外の4項目で7点台。シニアデビュー戦のNHK杯と同じ3位でも、内容が違う。それだけに「NHK杯のことを考えると、凄い成長したと思う」と自画自賛した。
 リンクに立つきっかけをつくってくれた大切な存在に、最高の笑顔を届けた。グランプリ東海クラブに通っていた6歳年上の姉・友季子さんの後を追って、スケート靴を履いたのが5歳の時。名城大で競技を続けている友季子さんは、今季終了後に現役を退く。北京出発前、デザインが得意な姉は、妹の写真をプリントした手紙を渡してくれた。「たいしたことは書いてなかったんですけど」と村上は笑うが、一文字一文字が力に変わった。前日(10日)は友季子さんの22歳の誕生日。大舞台での好演技が、バースデープレゼントだった。
 世界への道もくっきりと見えた。日本人最上位の表彰台で、来年3月に東京で開催される世界選手権の代表入りに大きく前進。世界選手権初出場での優勝は、浅田にもキム・ヨナにもできなかった偉業だ。次戦の全日本選手権(24日開幕・長野)に向け「練習で百発百中で跳べるくらい自信をつけて試合に臨めたら、一番いい演技ができると思う。全日本では全部跳びたい」と気合を入れた。日本一、そして世界一へ――。16歳の進化は止まらない。

 ◆村上佳菜子アラカルト
 ☆生まれ 1994年(平6)11月7日、名古屋市で生まれる。現在、中京大中京高1年の16歳。
 ☆スケート歴 6歳年上の姉・友季子さんの影響で、5歳から本格的にスケートを始める。
 ☆主な実績 08年にジュニアGPシリーズ初優勝。昨年は浅田真央以来となるジュニアGPファイナル制覇、世界ジュニア選手権優勝。今季からシニアに転向した。
 ☆始球式 3月26日、ナゴヤドームで行われた中日―広島戦で務めた。球速は55キロで、無念のツーバウンド投球。家族全員が中日ファン。
 ☆趣味 音楽鑑賞とダンス。
 ☆好きな食べ物 白子としゃぶしゃぶ。
 ☆サイズ 身長は昨年より5センチ伸びて1メートル58。43キロ。

 ▼優勝のアリッサ・シズニー 夢見ていた優勝が現実になった。実力を発揮することができてうれしい。

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2010年12月12日のニュース