藤井正弘の血統トピック

37年ぶり米3冠馬の祖父は3冠ストッパー

[ 2015年6月10日 05:30 ]

 6日に行われた第147回ベルモントSで、アメリカ競馬に37年ぶりの3冠馬が誕生した。

 78年のアファームド以来となる米3冠馬をどう表記すべきかは仕事柄、散々頭を悩ませてきたのだが、基本的に一字一音のカタカナとは違ってアルファベットに対応する英語圏の発音はよく言えば自由度が高い。「PHAROAH」という不可思議な単語にオーナーの意図していたところの「PHARAOH」(古代エジプト君主)の発音を適用することも許容されるのだろう。個人的にスぺルミスは漢字の異字体のようなものという結論に達したので、ひとまずカナ書きが必要な場合はアメリカン「ファラオ」でいこうと思う。

 何とも厄介な馬名の由来となったのは父のパイオニアオブザナイル(ナイルの開拓者)。現役時にG1サンタアニタダービーなどグレード4勝を含む10戦5勝、ケンタッキーダービーで2着に入ったこの父は、もともと13年の新種牡馬リーディング2位という注目株だった。2度目のクラシックイヤーで早くも歴史に残る大物を出したことで、その評価は飛躍的に高まるはずである。

 ちなみにパイオニアオブザナイルの父、つまり「最新の米3冠馬の祖父」は現在、日本で供用されているエンパイアメーカー。競走馬としては03年のベルモントSで、3冠が懸かったファニーサイドを下した敵役だった。3冠達成の決め手になったのは、隔世遺伝した“3冠ストッパー”の血だったといえるのかもしれない。 (サラブレッド血統センター)

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