藤井正弘の血統トピック

レッドオーヴァルで“歴史は繰り返す”

[ 2014年10月1日 05:30 ]

 G1スプリンターズSが新潟コースで行われるのは、東京競馬場改修の余波で新潟開催が秋競馬までスライドされた2002年以来。左回りでほぼ平たんな新潟は、直線に急坂が待ち受ける右回りの中山とは全く異質のコースで、ひとまず近年の血統データはリセットせざるを得ない。唯一の手がかりは12年前のイレギュラー開催ということになる。

 2002年のスプリンターズSは1番人気ビリーヴ、3番人気アドマイヤコジーン、2番人気ショウナンカンプの3強が後続を大きく離して叩き合った。レース史上屈指の名勝負を制したのは4歳牝馬のビリーヴ。サンデーサイレンス産駒7世代目にして初のスプリントG1制覇だった。同年の8月19日に没した父にとって、短距離G1は鬼門とも言われていたのだが、以後、その産駒からせきを切ったようにG1スプリンターが続出したのは周知の通り。前回の“新潟スプリンターズS”は、全能サイヤーとしてのサンデーサイレンスのターニングポイントだったのである。「歴史は繰り返す」とすれば、今回は種牡馬ディープインパクトのスプリントG1初制覇だろう。くしくもレッドオーヴァルは、前記ビリーヴと同じ4歳牝馬である。

 12年前、ビリーヴに半馬身差の2着だったアドマイヤコジーンは、父としてスノードラゴン、マジンプロスパーと2頭の産駒を送り込む。コジーン~カロ~フォルティノ~グレイソヴリンとさかのぼる父系は代々、左回りで大仕事をやってのける傾向。現役時代の悔恨に決着を付けるには、まさに千載一遇のチャンスという見方もできる。

 3着に終わったショウナンカンプの父サクラバクシンオーは、12年が経過した今年もグランプリボス、ベルカント、ダッシャーゴーゴー、アフォードの4頭出し。短距離サイヤーとしての息の長さは驚異的だが、母の父としての産駒ハクサンムーンを含め、こと新潟開催のスプリンターズSでは多少の割引が必要かもしれない。(サラブレッド血統センター)

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