藤井正弘の血統トピック

ラーが導くディープ大種牡馬への道

[ 2013年6月19日 06:00 ]

 オルフェーヴルの回避で興趣半減は否めない今年の宝塚記念だが、これでステイゴールド産駒(ゴールドシップ、フェノーメノ、ナカヤマナイト)とディープインパクト産駒(ジェンティルドンナ、トーセンラー、ダノンバラード)のパワーバランスは3対3。父別対抗の“6頭タッグ”が成立することとなった。種牡馬ステイゴールドにはグレード制導入後単独トップとなる4勝目、種牡馬ディープインパクトには2年前のグラスワンダー&アーネストリー父子以来、2度目の“2代制覇”が懸かる上半期のグランプリである。

 グレード制が導入された84年以降の宝塚記念で種牡馬単位のワンツーは3度記録されている。95年のダンツシアトル→タイキブリザード(父シアトルスルー)、97年のマーベラスサンデー→バブルガムフェロー(父サンデーサイレンス)、そして98年のサイレンススズカ→ステイゴールド(父サンデーサイレンス)。97年は3着ダンスパートナーもサンデーサイレンス産駒だったのだが、数の上では今回、久々の“ワンツースリー”が見られる可能性もあるわけだ。

 ちなみに97年の優勝馬マーベラスサンデーはサンデーサイレンスの初年度産駒。牡牝のクラシックを席巻しながら古馬チャンピオン級が現れず、成長力とピークの長さに弱点ありとされていた種牡馬サンデーサイレンスは、この馬の勝利によって初めて全能サイヤーとして不動の評価を得たのだった。

 ディープインパクトの初年度産駒も、現在のところ4歳以降はG1未勝利。G2、G3レベルでの活躍がノーカウント同然にされてしまうのは大種牡馬の宿命というべきで、ちょうど97年当時のサンデーサイレンス産駒に似たような風当たりが、なくもない状況だ。今回のトーセンラーは、春の天皇賞好走という臨戦過程、鞍上の武豊騎手を含めてマーベラスサンデーとイメージが重なる。常に偉大な父の背中を追い続けてきた種牡馬ディープインパクトの足跡を思うと、ここで16年前の再現があっても不思議ではない。(サラブレッド血統センター)

続きを表示

バックナンバー

もっと見る